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一見すると悠々自適に暮らしているシングル女性たち。しかし、過去には離婚や、借金を抱えるなど、さまざまな苦難がありました。彼女たちはどのように、その難局を乗り越えてきたのでしょうか。美咲さん(仮名)がシングルを貫いていた理由は(取材・文=武香織)

どんなに言葉を尽くしても、意味はない

20代の終わりから数年間、年下の男性と同棲していた美咲さん(65歳・仮名)。

「ある日、彼から『別れたい』と。私は受け入れるしかありませんでした。だから最近、年下の夫との磯野貴理子さんのサバサバとした離婚劇には、すごく共感できましたね。結論が出ているところに、どんなに言葉を尽くしても、意味ないもの」

それ以来、美咲さんは独身を通してきた。一緒にお酒を飲んだり旅したりする学生時代からの男友達はいても、男女の関係はない。40代は、正社員として勤めていた教育関係の仕事に邁進した。

ところが、50歳のとき、会社の業績悪化によるリストラに見舞われる。失業手当をもらいながら、約8ヵ月間、ハローワーク主催の講習を受け、10社以上の面接を受ける日々。結局、年齢的にどこにも採用されず、仕方なく父親のコネクションがあった派遣会社へ。事務、コールセンター、腕時計の電池交換など、さまざまな業務をこなし続けた。

「当時、派遣は時給1600円と高く、お金には困らなかったけれど、どこか虚しくてね……。更年期障害も出てきて、ひとりで生きてゆく厳しさを漠然と感じていた気がします」