パン工房「バーバラはうす」のみなさん。左から三木さん、河合さん、工場長の高林さん、原田さん(撮影:祢々)
まだまだ自分にはやれることがある」と信じて行動に移せば、意外と道が拓けることもある。新しく活躍の場を得た人に共通していたことは――2人目、3人目は豊田市の女性たち。あるパン工房でいきいき働いています(取材・文=篠藤ゆり 撮影=祢々)

大好きな接客の仕事を続けたい

三木久美子さん(67歳)は、愛知県豊田市足助町のパン工房「バーバラはうす」のホールで働いている。

勤務は週2、3回。早番の日は8時~15時半、遅番の日は9時~16時半。スーパーへのパンの配達を終えると、工房のレジに立つ。

「私はおしゃれが大好きで、ずっと市の繁華街にある洋品店で働いていました。おばあさんになっても洋服を売る接客業を続けたいと思っていたのですが、年齢が上がると採用の口がなくなるのが現実なんです。もうアパレルの接客をするなんて無理なのかな……と落ち込んでいました。そんな時にバーバラはうすの求人を見て。

『売るものは変わっても、大好きな接客の仕事を続けよう!』と思い直し、応募しました。新しい分野に踏み出すならもう躊躇してはいられない、と思ったんです」

三木さんは若い頃に青果店に勤め、対面で物を薦めて買ってもらう面白さに開眼した。以来、接客業一筋だ。「接客するのが大好き」と言うだけあって、笑顔が明るく、元気いっぱい。並んだ商品について尋ねれば、たちどころに特徴を述べ、「売れ筋はこれ」と教えてくれる。

「仕事が楽しいこともあるけど、現金収入が得られるのは大きいですね。自分で稼いだお金で、孫にお年玉やお誕生日のプレゼントをあげられるのが嬉しくて。なにより、まだまだおしゃれもしたい。洋服やバッグも買いたいですからね」