鈴木保奈美さん(右)と三浦しをんさん(左)
鈴木保奈美さんが、かねて作品を愛読する三浦しをんさんと初対面。「書く」ことへの思いをぶつけます。小説、エッセイ、演技。表現することの意外なる共通点は――(構成=山田真理 撮影=大河内禎)

文章を書くことと、芝居の準備と

三浦 鈴木さんのご本、『獅子座、A型、丙午。』、とっても面白く拝読しました。何回も吹き出すくらいおかしくて、社会や女性に向けたまなざしに「ああ、そうだよな」と思うこともいっぱいあって。今日、お話しできるのを楽しみにしておりました。

鈴木 ありがとうございます。私から「ぜひに」とお願いした対談なので、すごく嬉しいです。

三浦 お芝居の仕事とエッセイを書くときでは、脳みその使い方に違いってありますか。

鈴木 意外と近いかもしれません。私も三浦さんの『マナーはいらない 小説の書きかた講座』を新幹線の中で読みながら、気になるところをメモしてきたのですけど。

三浦 おーっ、スマホに書き出してくださってる!

鈴木 三浦さんは小説を書くまでに、頭のなかのモヤモヤしたものを「脳内でなるべく言語化する」「情景や感情の記憶をストックすることで、文章に書くとき具体的に思い浮かべやすい」といったことを書いていらして。わあ私、同じ作業をお芝居の準備でもやってると思ったんです。

三浦 具体的には、どんな感じの準備をされるんですか。

鈴木 役柄について集めた情報や台本から感じたイメージを、以前はぼんやりと抱えているだけでした。それをここ数年、エッセイを書くようになってからですが、断片的でも言葉にするようにしていて。そうして言葉で記憶しておくと、実際にカメラの前へ立ったときの再現性が高まるというか。

三浦 へええ、なるほど。