イラスト:飛田冬子
人生後半に差しかかり、これからは本当にわかり合える友人と穏やかな関係を築きたい。でも、心を通わせるのが難しい場面もあって──。読者アンケートで寄せられたお悩みに、人生相談のプロがアドバイスします。今回は病気になった時の付き合い方について、作家の久田恵さんが答えます(構成=山田真理)

【相談】
乳がんを患った私に対する友人の気遣いが重い

昨年、乳がんと診断されました。

現在は抗がん剤治療中なのですが、学生時代からの友人にそのことを伝えると、「大丈夫、気持ちを大きく持って」とか「困ったことがあれば力になるから」と頻繁に連絡をくれます。

ありがたいと思いつつも、私自身は人生に絶望しているわけではないので、「そっとしておいて」と言いたくなってしまって……

(56歳・自営業)

 

【回答】
相手のショックを想像し、素直な気持ちを伝える

(回答者:久田さん)

検診や治療法の進歩もあって、乳がんは今や「治る」病気です。あなたも、前向きに抗がん剤治療に取り組んでいるのでしょう。そこへ友人から「気持ちを大きく持って」とか「力になる」と言われると、自分は別に気持ちが縮こまっているわけでも力を失っているわけでもないんだけど――と言い返したくなる。そっとしておいてというのは、とても正直な気持ちだと思います。

ただ「治る」からこそ、今後の友情を大切にする方法を考えてほしい。当事者や専門家でもないかぎり、がんはいまだに怖い病気というイメージだと思います。学生時代から仲のいい友達がそんな深刻な病気になったと知った友人も、きっと大きなショックを受けたはず。それで「何とかしてあげなきゃ」と心の中が大騒ぎして、つい頻繁に連絡してしまうのでしょう。

ご自分の病気にも冷静に向き合うことのできるあなたなら、そんな友人の心の内を想像するのも難しくないと思います。あるいは逆に、友人からがんになったと告白されたら自分はどうするだろうと想像してみるのもよいのでは。

そうして気持ちの準備をしたうえで、友人にはさらりと笑顔で「私は大丈夫。心配されるとかえって動揺しちゃうから、普通にしていて」と素直な気持ちを伝えてみてください。きっと彼女もほっとして、以前と同じような接し方に戻ってくれると思います。

私の周囲には、重篤な病気になった友人が何人かいます。中には人が変わったように攻撃的になった人もいたし、「元気な人を見ると落ち込むから顔を見せないで」といった言葉をぶつけられ、悲しい思いをしたこともあります。ある女友達に「あなたのために何ができる?」と聞いたら、「治療費が足りないからお金を集めて」と頼まれて募金活動をしたことも。

もしも友人が「それでもあなたに何かしてあげたい」と言うのなら、具体的に何か頼んでみるといいかもしれません。自分でも調べられるけれど、食欲がないときに食べやすいものやリラックスできるアロマグッズを探してもらうなど。その気遣いには感謝をし、「あなたが困ったときは私に言ってね」と返すことで、お互いを思う気持ちも大切にできるでしょう。