イラスト:飛田冬子
人生後半に差しかかり、これからは本当にわかり合える友人と穏やかな関係を築きたい。でも、心を通わせるのが難しい場面もあって──。読者アンケートで寄せられたお悩みに、人生相談のプロがアドバイスします。今回は唯一無二の友人を亡くした相談者の嘆きに、精神科医の水島広子さんが答えます(構成=山田真理 イラスト=飛田冬子)

【相談】
友を亡くした喪失感とどう向き合えば……

離婚しておひとりさまの私。同じシングルで趣味や価値観の合う親友がいたのですが、病を患い、今年の春に亡くなりました。困ったことがあったときに支え合える唯一の相手だったので、いまだに孤独から抜け出せずにいます。

親の看取りも経験しているし、歳を重ねれば死別は覚悟しないといけないことと頭ではわかっていますが、これほど堪(こ)たえるとは……。

現実を受け入れられず、食欲もわかず、何をしても楽しくありません

(66歳・無職)

 

【回答】
彼女の存在を「点」から「立体」に膨らませて

回答者 水島さん

親しい人を亡くすという経験は、人間にとって最も強烈な衝撃です。ショックを受けた状態を「目が点になる」といいますが、文字どおり衝撃的な事実にピントがぴたりと合って、ほかのことが目に入らなくなる。相談者の場合、親友が「死んでしまった」という一点に、今は心が集中してしまっているのでしょう。

そうして深く悲しむ時期というのも、実は人間にとっては大切な時間です。「自分は強いから」「落ち込んでばかりいられない」と、中途半端に悲しみを切り上げてしまうと、後からうつ症状などに悩まされることもあります。

孤独を感じ、悲しみや喪失感で「何をしても楽しくない」というのは、内にこもって悲しみにひたる時間を作るために心が用意してくれた現象ともいえます。とことん泣いて、たくさん思い出し、彼女のために思い切り悲しんであげてください。