左から南伸坊さん、宇多喜代子さん、小林聡美さん
女優の小林聡美さん、俳人の宇多喜代子さん、イラストレーターの南伸坊さん。個性的な顔ぶれで句会を開催!気分はすでに春、軽やかに十七文字で遊んでいただきました。季語の選び方から句会の楽しみ方まで、三者三様の俳句愛があふれています。リニューアル1号目となる『婦人公論』2月号から、特別に記事を先行公開いたします。(構成=篠藤ゆり 撮影=大河内禎)

季節を少し先取りするのが粋

宇多 今日の誌上句会では、聡美さんが前もって「お題」を出してくれたのよね。

小林 恐れ多くもご指名いただきまして。この2月号の発売期間は1月15日から2月中旬まで。季節が難しいですよね。春にまたがる感じがいいのかなと思って、「春浅し」にしてみました。

宇多 そもそも新年の季語は少ないし、〈よそいき〉みたいでよそよそしくなるからね。

 「春浅し」、いい感じです。

宇多 2月はもう春ですから。次の季節に移る間というのは、俳句を詠むにはもってこい。

小林 少し先のことを詠むのはいいんですよね?

宇多 1ヵ月くらい先を詠むのがいい。遅れるのは野暮。

 なんかファッションの先取りみたいですね。以前、このメンバーで、沖縄県の竹富島に吟行(ぎんこう)に行きましたね。

小林 あの時は、宇多さんが水牛を撫でて、ものすごく愛でていたのが印象的でした。(笑)

 あはは、そう。竹富島は一年中、あったかいから、季語に迷ったよね。

小林 季語に迷った時は、「俳句歳時記」を開きますが。

宇多 いま出ている「歳時記」は、地域差に容赦なく、北海道の方も沖縄の方も同じものを使っていただいているんです。

小林 でも、桜が咲く時期とか、沖縄だと1月だったりしますよ。

宇多 じつは「沖縄歳時記」や「北海道歳時記」もちゃんとあって、そのほうが実感に即している。ただ、文芸として、「言葉の世界」で決まっていることに合わせるのも面白いと思いますよ。