ネグロロサ

ある時、「Apasionado!!(アパショナード)」というショーがありました。
ラテンの熱いショーの中詰(中盤ごろ)に、「熱帯夜」という場面があり、
トップスター以外、男役スターが全員女役という設定でした。

どう見ても、その男役スター6人のメンバーの中に私がいるのは違和感でしかありません。
なぜ...???
しかも女???

その疑問は振りがついて納得しました。
私はオチなんだと。

みんなそれぞれにお花の名前を連想させる役名がつけられ、
その花をイメージさせるようなパステルカラーのお衣装で
銀橋を歌い踊っていきます。
多少迫力はあれど、みんななかなかの「女装」です。

キレイ、カワイイが続く中、組長登場。
役名は、ネグロロサ。
いかにも強そうな名前です。
黒薔薇で、肩を露わに出した黒いドレスでした。

歌はなく、私だけ急にムーディーな音楽になります。
客席がかなりザワッとするのを感じ、威嚇しながら銀橋を渡りましたよ。
オチですから。

鬘(カツラ)も「黒」と「赤毛のロング」と2パターンを作り、日替わりで変え、自分の中ではかなり頑張りました。
オチとはいえ、キレイなんじゃないかと思っていました。

芸能生活30周年コンサートでの一場面「シャレード」 月組時代の下級生に出ていただきました。右 貴澄隼人さん、左 彩星りおんさん。​never melt. PHOTOGRAPH RYOTA KIRIAKI marin

男役が「女装」する時、
並々ならぬ研究と努力と覚悟で臨んでいることを頭に置き、
どうか温かい目でご覧ください。
そして、厳しい批判はご容赦ください。
男役にしか出せない強さや個性、ダイナミックさや色気、
男役のやる女役にはそんな魅力が溢れています。