なぜ離婚しなかったのか。細々とパートを続けていたものの、1人で2人の子どもを育てる自信がなかったからだ。この4月に長男は社会人に、次男は大学生になった。私の両親が払ってくれていた学資保険はとっくの昔に、借金の返済に充てるため夫が解約した。そんな環境で育ってきたにもかかわらず、2人とも素直で優しい子に育った。困った夫だが、夫と結婚したからこそ息子たちに会えたのだ。

さて、私は5月から結婚前にしていたような事務の仕事を探し始めた。いくつも面接を受け、「あなたはこれができるんですね」と言われ続けるうちに、徐々に昔の自分に戻っていくような感覚になっていった。

履歴書を送り続けること16通、面接6回目にして、ついに非常勤職員の採用が決まった。「ぜひ来てください」と電話があったときには、本当に嬉しくて涙が出た。人から認められるのは何年ぶりのことだろう。

時給は安いので自立はまだまだ先。この先どうなるかもわからない。ただ、今言えるのは、私は前へ進みたい、ということだ。夫との結婚は、貧乏くじだったと思わないためにも。

 


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