イラスト:柿崎こうこ
親の死をきっかけに始まる、実家の片づけ。その途中で、嬉しくないモノを見つけてしまった人がいるようです──矢島宏子さん(仮名)は父の秘密を知ってしまいました。(「読者体験手記」より)

知りたくなかった、父の隠れた嗜癖

4年前に、母と父が相次いで他界した。実家は長姉の子ども(甥)が相続したが、まだ高校生なので住むのは当分先のこと。「とりあえず、片づけだけはしておいたほうがいいよね」と三姉妹で話し合い、実家の近くに住む私が一手に引き受けることになった。業者に頼むと50万円もかかるというし、もともと片づけは好きなので、苦ではない。

大学生の娘と一緒に実家へ行き、まずはタンスから手をつけることにした。母はすい臓がんの闘病で入退院を繰り返していたため衣類は最小限まで整理されており、とくに苦労しなかった。ほかには着物、アクセサリーやブランドもののバッグが数点出てきたが、いずれもリサイクルショップに持ち込めば換金できそうなものばかり。

問題は、父のほうだ。まず、大量のエロ本。父も男性だから、そういった類のものが出てきてもおかしくはない。私も中学生のころには、父のエロ本やエロビデオをこっそり持ち出して、友達と見たものだ。だが、今回発見した雑誌は表紙に「ロリータ」という文字がでかでかと躍っていたから、私は凍りついた。

背後から娘が、「お母さん、どうしたの?」と無邪気に聞いてくる。「なんでもない」とごまかし慌てて雑誌を隠したが、頭がぐらぐらして、動揺が止まらない。「友達に借りたのを返し忘れていただけかもしれない」と思いたかったが、それにしてはあまりに量が多すぎる……。娘の目を盗んで新聞紙にくるみ、後日こっそり資源ゴミに出した。

そしてタンスや収納棚から、出るわ出るわ、「ももひき」の山。使っていたものから封を開けていない新品まで、45リットルのゴミ袋で5袋は捨てただろうか。洋服も半端な量ではなかった。せっせとゴミ袋に入れてはリサイクルショップへ持ち込む。店員に顔を覚えられるほど往復を繰り返した。

なぜ79歳にもなってお洒落に気を使っていたかというと、父には愛人がいたからだ。