オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81㎝Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie)/Franck Raux/distributed by AMF

 

伝説の画商ポール・ギヨームとその妻のコレクション

パリのセーヌ川岸に建つオランジュリー美術館。本展はこの瀟洒(しょうしゃ)なミュージアムが所蔵するフランス近代美術の名品の数々を、日本で21年ぶりにまとめて紹介する展覧会だ。

オランジュリー美術館といえば、一般的には、湾曲する壁面をグルリと囲むモネの《睡蓮》の大作で知られるミュージアム。しかし同館にはもうひとつ名物が存在する。1920年代に目覚ましい活躍をした画商ポール・ギヨームと、彼の死後そのコレクションを引き継いだ妻ドメニカ(本名ジュリエット・ラカーズ)による「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨームコレクション」で、今回はこちらの作品群が来日中だ。

モネ、セザンヌ、ピカソなどの輝くばかりの作品があるなかで、とくに注目されるのは、ルノワールの《ピアノを弾く少女たち》。

アンドレ・ドラン《アルルカンとピエロ》1924年頃、油彩・カンヴァス、175×175cm Photo © RMN-GrandPalais (musée de l ' Oran g e r i e ) / H e r v éLewandowski/distributedby AMF

パリのオルセー美術館には、同じ構図の作品が国家買い上げとなって収蔵されているが、オランジュリーのそれはもっとタッチが柔らかく、親密な空気が漂っている。ルノワールが亡くなった後にアトリエに残されていたものを、ギヨームが購入した作品だ。また2人の道化を描いたドランの《アルルカンとピエロ》も、本コレクションを代表する作品。長い間ギヨーム邸の居間の中央に飾られていた、ギヨームお気に入りの大作である。

 

 

 

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農村、動物、そして富士山……

美しく手入れをされた広大な庭園が、日本人ばかりか海外の観光客の心を惹きつけてやまない島根県安来(やすぎ)市の足立美術館。本展は同館が誇る近代日本画のコレクションから、巨匠たちが繰り返し描いたテーマに焦点を当てた展覧会だ。農村風景を好んで描いた川合玉堂(ぎょくどう)に、昭和期、温かい眼差しで動物画を描いた孤高の画家・橋本関雪(かんせつ)。自らの愛するテーマを何度となく描くことで画家たちは評価され、それぞれのテーマは彼らの代名詞となっていった。

その顕著な例が、巨匠・横山大観(たいかん)が取り組んだ富士山のテーマだろう。彼は生涯にわたって約1500点もの富士を描いたといわれており、本展でも霊峰富士が朝日を受けて輝く《神国日本》などが展示される。また、春の桜と秋の紅葉を対にして描くこともあり、近代日本画の展覧会で思いがけず大観の春秋図に出くわすことも少なくない。《春風秋雨》もそんな作品のひとつで、春の風に舞う桜と、雨に散る紅葉を一双の屛風に描いている。武士のように潔く散る桜の花は、水戸藩士の家に生まれた大観好みのテーマだったのかもしれない。

 
横山大観《春風秋雨》1934(昭和9)年 足立美術館蔵

 

 

 

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1万3000年のときを超えて心躍る不思議な魅力

「土器」とは、粘土で形を造り素焼きした器のこと。日本で土器が誕生したのは今から約1 万3000年前と考えられ、縄目文様の土器で知られる「縄文文化」は、世界最古の文明である可能性が近年ささやかれ始めている。この注目の古代の文化を箱根・岡田美術館のコレクションから紹介する。力強い縄文土器もさることながら、5〜6世紀、権力者の墳墓(古墳)の上に並べられたという人物埴輪にも注目。当時の女性の姿かたちを表した埴輪たちは、なんともかわいらしく、癒やされる。

《埴輪 壺をのせる女性 杯をもつ女性たち》古墳時代 5〜6世紀 岡田美術館蔵