「マイナスの感情を捨て、諦めずにいれば、体は応えてくれるものですね」(撮影:御堂義乘)
昨秋、初期の脳梗塞で入院するも、2ヵ月ほどで仕事に復帰した美輪明宏さん。早く健康体を取り戻すため、マイナスの感情は持たず、毎日リハビリにも励んでいます(構成=平林理恵 撮影=御堂義乘)

諦めずにいれば体は応えてくれる

あの日、仕事を終えて自宅へ帰ってきて、玄関先で人と立ち話をしているとき、言葉が少しもつれるのを感じました。なんだかおかしい、いつものようにしゃべれない。

それですぐに病院へ行きまして、MRIっていうんですか、あのガアアアとうるさいの、あれに入りました。ずいぶん昔に入ったことがあって、キーンという音、ドーンという音……いろいろな騒々しい音がかわりばんこに鳴るものだから、もう二度とごめんだと思っていましたが、仕方ありません。

我慢して我慢して、ようやく撮れた画像を見ると、脳の細い血管に小さな玉のようなものが写っていました。「これがいたずらをしていますが、ごく初期の脳梗塞です」と病院の先生から説明を受け、4日ばかり入院することになりました。

はじめの頃は、やはり言葉が出にくかったですね。でも、不安な気持ちに圧し潰されたら、そこでおしまい。人間はすべて「気」で動いていて、気が脳も動かすわけですから。気をマイナスに持っていったら、自滅してしまいます。

かといって「大丈夫、大丈夫」とやせ我慢しても仕方ない。こういうときに大切なのは冷静さです。まず首を立てなくてはいけません。つむじのてっぺんを、天井から吊り上げたみたいにまっすぐに保つ。そうすると、腰も背筋もまあるくなった肩甲骨も、まっすぐに伸びます。そして口呼吸をやめて、水をたっぷり飲む。そのおかげなのか、今では言葉のもつれはずいぶんなくなりました。