「いつも何者かに守られている──そんな実感があるからこそ、イリュージョニストという仕事を、長年、続けていられるのかもしれません。」(撮影:木村直軌)
世界的に活躍するイリュージョニストのプリンセス天功さん。そのプロフィールは謎につつまれ、数々の伝説的なエピソードで知られています。一歩間違えれば死につながるステージを重ね、世界中のVIPたちを魅了し続ける秘訣とは──(構成=内山靖子 撮影=木村直軌)

運を引き寄せる力は誰にも負けない

初代・引田天功の名前を受け継いでから、危険な脱出イリュージョンで命にかかわるような大ケガを、これまでに何度も経験しています。それでも現在も世界各国を回って、年間300回ものステージをお見せすることができるのは、我ながら運が強いのかもしれません。

ひょんなことから、幸運が舞い込んでくることもよくあります。たとえば、5年ほど前のこと。私のショーのスタッフやメンバー全員で宝くじを買おうという話になったんです。同じ宝くじ売り場に並び、1人1枚ずつ買って、運試しをしようって。そのときも、当たったのは私だけ。何等かはナイショですけど(笑)、買った瞬間に、「ああ、絶対に当たるな」と、その場でピンときました。

ちなみに、その宝くじを買ったとき、いつも連れているサイベリアンという種類の猫を抱いていたんです。その子の運もあるのかも。みんなから「その招き猫、宝くじを買うときに貸して!」と、ひっぱりだこになりましたね。

マジックショーの最中に、顔面に剣が突き刺さりそうになったとき、どこからか天使が舞い降りてきて、大きな羽をフワーッと広げて私を守ってくれたように感じたこともありました。

脱出イリュージョンで事故が発生し、地上20mの高さから真っ逆さまに落ちて地面にたたきつけられてしまったときも、肩の骨が粉々になることもなく、その後も後遺症はまったくありません。

いつも何者かに守られている──そんな実感があるからこそ、イリュージョニストという仕事を、長年、続けていられるのかもしれません。