【重要文化財】《画文帯神獣鏡・三角縁神獣鏡(部分)》奈良県天理市 黒塚古墳出土 古墳時代・3世紀 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管)

 

壮大な日本の歴史と宝物の数々

神代から持統天皇11年(697)までを記した、わが国最古の正史『日本書紀』。本展は、養老4年(720)にこの歴史書が成立してから今年で1300年となることを記念して、「日本」という国がどのようにできたのかを、出雲と大和、2つの地域にスポットを当てて紹介する。

まず前提となるのは、地上の国の統治者オオクニヌシが、天上の国の女神アマテラスに日本列島の支配権を譲るという「国譲り神話」。国を譲った後、オオクニヌシを手厚く祀った出雲の地を神々や祭祀の世界として、また、アマテラスの子孫である天皇家が政権を樹立した大和の地を現実の政治の世界として考える。

【重要文化財】《宇豆柱》島根県出雲市 出雲大社境内遺跡出土 鎌倉時代・宝治2年(1248)島根・出雲大社蔵

 

前者でぜひ観ておきたいのは、かつては約48mの高さを誇ったという出雲大社の巨大な柱だ。最大直径135㎝もの巨木を3本1組にして、本殿を支えていた9ヵ所の柱のうち、中心にあった《心御柱(しんのみはしら)》と、本殿正面中央に位置した《宇豆柱(うづばしら)》が展示される。

2件そろっての公開は、「最初で最後」になる可能性が高いという。そのスケールの大きさに驚かされるに違いない。このほか、出雲大社近くの荒神谷(こうじんだに)遺跡から出土した大量の銅剣や銅どう鐸たくなど、古代祭祀の道具の展示も圧巻だ。

また後者では、奈良県天理市の黒塚古墳から出土した神獣鏡(しんじゅうきょう)がまとめて紹介されるのも興味深い。表面に神獣の浮き彫りが施され、被葬者の頭部を囲むようにびっしりと置かれていた33枚もの鏡は、邪馬台国の卑弥呼が中国の皇帝から下賜されたのと同様のものとも言われている。

神話と考古学の歴史ロマンに、想像はさまざまに広がりそうだ。

 

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華やかな芸術が侯国を彩って

スイスとオーストリアにはさまれたリヒテンシュタイン侯国。侯爵家(君主)の家名を国名とするこの国は、人口3万8000人ほどながら、金融業や企業誘致の成功により、世界屈指の豊かさを誇っている。

本展は、リヒテンシュタイン家が蒐集してきた美術品から、選りすぐりのコレクションを紹介する。クラーナハ(父)、ヤン・ブリューゲル(父)、ルーベンスと名だたる巨匠の作品が並ぶなか、19世紀前半、人々が日常的なものに目を向けたビーダーマイヤー期の美術品も華やかだ。

たとえば、大輪の花々や豪華な調度を緻密に描いた、ヴァルトミュラーの静物画。伝統的に花の静物画は、命のはかなさを示してきたが、ここではすべてが生命力にあふれ、ひたすら美しく表現されている。本展では、同様に花を描いた優美なティーセットなども展示される。

「宝石箱を覗きこんだような」という形容がぴったりの、キラキラとした展覧会だ。

 
フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》(部分)1839年、油彩・板
©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections,Vaduz-Vienna

 

 

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祭神を救った神の使い。愛らしい鼠と新春を寿ぐ

江戸時代の象職人・岡おか友ともによる、ロウソクをかじる鼠の根付。京都国立博物館毎年恒例の新春特集展示「干支を愛でる」では、こんなかわいい鼠たちがお目見えする。

多産であることから子孫繁栄の象徴とされている鼠は、もとは出雲大社の祭神として知られるオオクニヌシノカミ(大国主神)を火の海から救ったことで知られ、この神の使いとされていた。ところがインドから大黒天がやってくると「大黒」と「大国」が一体化し、鼠も米俵の上に立ち、打ち出の小槌を持った豊穣の神様・大黒天の使いと考えられるようになったという。

新春を寿ぐ鼠たちに会いに、京都国立博物館を訪れてはいかが?

蠟燭に鼠根付線刻銘「岡友」京都国立博物館蔵