イラスト:霧生さなえ
この年齢まで、頑張って生きてきた。家庭を切り盛りし、よく働いた。なのに、「老後は悠々自適に」というささやかな夢さえ叶わないとは!主婦も、働く女性も、お金の悩みに変わりはないようです。70歳の村井永子さん(仮名)の場合はーー(「読者体験手記」より)

仕事、学業、子育てで、休む暇なし

「もうそろそろゆっくりしたら」と娘に言われながら、4年ほど前から法律事務所で働いている。弁護士を3人ほど補佐しているので、年齢を考えると、それなりの重労働である。20年勤めた会社を定年退職後、別の会社を経て、いまの職に就いた。

こんなに頑張って働いてきたのに。70になったいまの生活が一向にラクにならないのは、なぜなのだろう。私は、なにか人生の岐路で選択を誤ったのではないか。たびたび自問自答してしまう。

私の50代は、家庭のほかに仕事と学業、資格取得……と、怒濤のような毎日だった。不動産仲介の営業職に就いていたのだが、当時は住み替え相談が増え始めていた時期で、新しい知識の必要性を強く感じた。それに、上の娘の結婚を機に夫と離婚したこともあって、何か自分への投資がしたかった。

たまたま電車で、社会人大学の新入生募集の広告が目に留まったのは55歳の時だ。仕事が終わると、片道1時間かけて夜間部に通う。学んだのは社会福祉、パソコンのスキル、経営学など、仕事にすぐ役立つ内容ばかり。授業後の若い学生たちとの飲み会も楽しかったし、パワーポイントを使った発表も、はじめての体験だった。

同時に、介護福祉士の受験資格を得るため、通信教育も受けていた。スクーリングと介護施設での実習で、休む暇がない。仕事と学業の両立は難しかったが、嵐のような2年間を過ごして大学を卒業。介護福祉士の資格も手にした。

20代、30代の頃は、医療関係の事務職員として働いていた。子どもには不自由をさせないよう稽古事にも塾にも通わせたし、PTA役員も引き受けた。仕事も育児も頑張って両立させたつもりである。

夫はまったく家庭を顧みない人で、毎日酒を飲み、生活費もロクに入れなかった。将来について明るい展望をなにも描けなかった私は、子どもたちにかかるこの先のお金を考え、自分のいまのままの給料では難しいだろう、と思った。