オラファー・エリアソン《ビューティー》1993年
Installation view: Moderna Museet, Stockholm 2015 Photo: Anders Sune Berg
Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles
©1993 Olafur Eliasson

 

最新技術を駆使して暗闇に生み出される幻想美

光、水、霧などを用いたインスタレーションで、自然の美しさや大切さを教えてくれるデンマークのアーティスト、オラファー・エリアソン(1967-)。本展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」は、日本では10年ぶりとなる彼の大規模な個展である。

オラファー・エリアソンは、2003年、ロンドンのテート・モダンに巨大な太陽を再現した《ウェザー・プロジェクト》で国際的に注目された。以後、ニューヨークのイースト川に人工の滝を4つも出現させた《ニューヨーク・シティ・ウォーターフォールズ》などを成功させ、近年は、電力の供給が不安定な地域の人々のために、携帯式のソーラーライト「リトルサン」を届けるプロジェクトなども行っている。

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展の ための新作の試作、2019年
Photo: MarÍa del Pilar GarcÍa
Ayensa/Studio Olafur Eliasson

 

建築家、技術者、研究者など、100名もの専門家が日々研究と実験を繰り返す彼のスタジオは、まるで企業の研究室のよう。しかし「美」をもって人間と自然との仲介者であろうとする芸術家としての彼の姿勢は、デビュー当時から変わらない。

その最たる作品が、初期の代表作《ビューティー》だろう。上から降ってくる大量のミストに光を当てて、人工の虹を作り出す作品で、手を伸ばせば虹に触れることもできる。暗闇に虹が揺れる幻想的な空間は、まさに「美しい」の一言だ。

また本展のための新作は、水盤の水にさざ波をたて、そこに光を当てて投影するというもの。もともと日本庭園における水の使い方や、「可変の美」という日本人の美意識に深く共感していたエリアソンの真骨頂だ。

 

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歴史的名作からパロディまで

東京オリンピック・パラリンピックが開催される今年、日本の伝統的な文化や芸術を国内外にアピールする展覧会が各地で開催されている。そのなかでも本展「古典×現代2020-時空を超える日本のアート」は、日本の素晴らしい古典美術と、気鋭の現代美術家8名の作品を対比させることで、新旧の名品を紹介するとともに、伝統がいかに現代に息づいているかを見せる展覧会だ。

たとえば海外でも大人気の葛飾北斎の代表作《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》は、近年漫画だけでなく芸術分野でも活躍しているしりあがり寿の作品と対比。しりあがりは、将来宇宙旅行が可能になった時、地球がどのように見えるかをパロディとして表現している。

そのほか、日本刀と鴻池朋子の動物の皮を使った巨大なインスタレーション、尾形乾山(おがたけんざん)の陶器と皆川明の華やかな布のデザイン……、とジャンルを超えた組み合わせが実現。

思いがけない観点から、今までとは違った作品の楽しみ方ができるだろう。

 

上/葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》江戸時代・19世紀 大判錦絵25.2×38.5cm 和泉市久保惣記念美術館
下/しりあがり寿《ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球》2017年和紙にインクジェットプリント32.0×47.0cm 作家蔵展示期間:いずれも5月8日~6月1日

 

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世界的デザイナーの軌跡を辿る

1965年にニューヨークで初の海外ショーを成功させ、77年には東洋人で初めてパリ・オートクチュール組合の会員となったファッションデザイナー、森英恵。戦後の日本から世界に羽ばたいた彼女の、半世紀以上にわたる活動の記録を紹介する。

「マダム・バタフライ」と称された彼女の蝶のオートクチュールから、森英恵のインスピレーションをイメージした映像空間まで、華やかな世界が展開する。

HANAE MORI Haute Couture Collection
撮影:伊奈英次、画像提供:島根県立石見美術館