イラスト:村田善子
ただでさえ、夫の実家とのつきあいは気が重いもの。そこに、息子である夫すら馴染めない家族がいたら──藤田さん(仮名)の場合、義母の介護のことで、夫のきょうだいとのあいだにわだかまりがあるそうです。(「読者体験手記」より)

気性が荒く、怒り出すと止まらない

姑が亡くなったのは、15年前の春のことだった。その通夜と告別式に、悪びれる様子もなくやってきた夫のきょうだいたちの姿を、私はいまも忘れることができない。実の母親の介護を、三男の妻である私に8年もの間押しつけて、ただの一度も様子を尋ねることのなかった4人のきょうだいたち。

通夜のとき、どのような顔をしてやってくるのか、私にどのような言葉をかけてくれるのかとそればかりを考えていたが、驚いたことに、全員が喪服姿で笑っていた。「いままで大変でしたね」も、「あなたがいてくれたから、私たちは苦労せずにすんだのよ」の言葉もなかった。

夫は、5人きょうだいの末っ子。一番上の姉とは14歳、その下の兄とは12歳離れている。一番近い兄とも6歳も違うので、子どものころからきょうだいたちにはあまり馴染めなかったらしい。かわりに親からは、1人だけ溺愛された。

長兄は40年以上前に父親が亡くなった際、長男の自分が残された母の面倒を見る、という約束で財産のほとんどを受け継いだ。そのお金で家を増築したり、山を購入したりしていたが、きょうだいたちは「母の面倒を見るくらいならお金なんていらない」と、誰も文句を言わなかった。

お嬢様育ちの姑は、まわりからかしずかれて生きてきた。頭を下げることも、謝ることも知らない。気難しいうえ、怒り出すと理性がきかず止まらないので、わが子からも心底疎まれていたのだ。

そんな姑が長男宅に引き取られたのは、まだ70代前半のときだったと思う。誕生日に巨大なデコレーションケーキを買ってもらったと喜ぶなど、しばらくは仲良く暮らしているようだったが、案の定、そんな日々は長く続かなかった。

長男の妻によれば、「おばあちゃんがニコニコして機嫌がよかったのは、はじめの半年だけ」。洗濯物を取り込んだり、孫の面倒を見るよう頼まれたりしているうちに、我慢がならなくなったのだろう。みんなとぶつかって大ゲンカを繰り返すようになった。近所中に聞こえるような大声で家族の悪口を言いふらす姑に耐えられなくなった長男は、当初の約束を反故にし、姑を放り出した。