イラスト:村田善子
ただでさえ、夫の実家とのつきあいは気が重いもの。そこに、息子である夫すら馴染めない家族がいたら──山川さん(仮名)の場合、それは変わり者の舅でした(「読者体験手記」より)

洗剤や食べ物に謎の手書き文字が

二十数年前に結婚することが決まったとき、夫は「俺の親父はとんでもない変わり者のケチで、そのうえ人使いが荒いんだ」と言いました。「自分の父親のことをそんなふうに言うなんて。節約が上手とか、言い方があるでしょう」と私は笑いましたが、結婚後に同居を始めると、義父の細かさと横暴さには驚かされることの連続でした。

毎朝台所に立ち、シンクに置かれた食器用洗剤が目に入るたび、私はうんざりします。洗剤の容器には、黒いマジックででかでかと書かれた「4月30日 スーパーM 98円」の文字。これは義父がいつ、どこの店で、どのくらい安く買ったか、を記したものです。

中身がなくなったら、ここに書かれた価格を上回らないよう、洗剤をどこまでも探しにいかなければなりません。試してみたい新商品などもってのほか。すべてはいかに安いか、にかかっているのです。

洗濯洗剤、歯磨き粉、シャンプーだけでなく、しょうゆやソース、サラダ油に至るまで、何を使うときにもいちいち義父による手書きの文字が目に飛び込んできます。

自営業のためにいつも自宅にいる義父は、義母や私を差し置いて家事に介入してくるのが常でした。特に私が買い物から帰ると、レシートを提出させられ、1つずつチェックしては「これはいつ、どこへ行けばいくらで買えたはずなんや」などと言う始末。

一度、「あちこち買いにいくのは手間ですから、大きなスーパーで一気に買ったほうがラクじゃないですか。時間はお金に換えられない価値が……」とうっかり言ったら、烈火のごとく怒られました。