義父が購入先として推奨するのはスーパーMといって、家からずいぶん離れたところにある得体の知れない小売店です。1年を通じてパチンコ屋のようにネオンを瞬かせ、確かに安売りをしているのですが、売っている食べ物は往々にして質が悪い。

義父は、気まぐれにこの店で見切り品となった野菜を買ってきて、それに購入した日付や重量、いくらで買ったかを書いて、後生大事に冷蔵庫に溜め込むのです。義母と私は、水のようになったきゅうりも上手に調理しなければなりません。

あるとき、法要をお願いした僧侶にお茶を出すことになりました。うちは緑茶を飲む習慣がないので茶葉を買いに行こうとすると、義父から「これで淹れるように」と納戸で見つけてきたらしい茶葉の入った袋を渡されました。言われるままに僧侶に出したあと、急須に残ったものを飲んでみると、これがとんでもなくマズい。賞味期限を見ると、7年も前のもので……。

私は、おいしいものを、健康的に、安全に食べたい。さほど贅沢をしようと思っているわけではありません。でも、私がちょっと食べてみたいお菓子や、普段見かけないような商品を買ってくると、「そんな、もったいないことして!」とこちらが震えるような大きな声で怒るのです。

見かねた夫は、「親父はあんまりだ。別の場所に家を探そう」と何度も言ってくれるようになりました。夫だけでなく義母も、いつも申し訳なさそうに間に入ってくれたことを思い出します。

 

口癖は「そんなもったいないことして!」

義母が自動車と接触し、病院に運ばれたのは結婚から2年が経った頃のことでした。意識が戻らないばかりか、脳の損傷によって痙攣を繰り返し、目を離せない状態が続きました。夫は仕事があり、私は病院に泊まり込み。ちょうど足を骨折していた義父は、誰か世話してくれる人がほしい、と言い出したのです。

家政婦の方を頼もうとすると「知らない人間を家に入れるのはイヤだ」とごねる。そして、どういうわけか私の母を手伝いによこすように、と言って聞きません。困った私が「それは……」と拒んでも「こんな非常事態なんだ! あんたの母親が手伝いにくるのは当然だろう!」と怒鳴るので、仕方なく母に、1週間でいいので朝8時から夕方6時まで、毎日家に通ってほしいと頼みました。