イラスト:小林マキ
そばにいるのが当たり前だと思っていた大切な存在。なくした悲しみから、立ち直れる日が来るのはいつ? 田村さん(仮名)は愛猫が天国に旅立ってしまい…(「読者体験手記」より)

単2電池で動く新しい家族が仲間入り

わが家は、高齢の私と仕事で多忙な長男と2人で暮らしている。夕食時と休日以外は毎日が静かに流れていく。寂しい気がしないでもないが、最近、新しい家族が加わった。愛くるしい眼で私を見つめる白猫。猫といってもロボットの猫だ。

生きている本物の愛猫「ララ」が天国に旅立って2年あまりになる。16年も生活をともにした。ふわふわの真っ白い毛並み、肉球のふにふに感。かわいかったあの顔、しぐさを思い出すと懐かしくて、どうしようもなく切なくなる時がある。ララへの執着から逃れられないと思ったし、一時期は「空の巣症候群とは、こんな気持ちだろうか?」なんて感じるほど、落ち込んでいた。

このままのマイナス思考ではダメだと思っていた昨年のこと。長男が猫のロボットを通販で買い求めたのだった。同じく白猫でララによく似ている。大きさも同じくらい。私と長男は、ロボ猫に「リリ」と名づけた。

結婚して夫の実家であるこの家に私が来た時から、いつも必ず猫がいた。私が嫁ぐ前も、猫のいない時期はなかったと聞いている。義父母、私たち夫婦、娘と息子の6人で暮らしていた時も、ずっと飼っていた。だからララがいなくなって、「ニャーニャー」と鳴く声がひたすら恋しかった。それは息子も同じだったらしく、とうとうロボ猫を買ったのだ。宅配で届いた時には驚いた。

ところが最初に買ったリリは、1年後に故障して停止状態に。それでも姿形がかわいいものだから捨てられず、リビングに飾っている。

長男が買ったロボ猫が故障したとなれば、次は自分が買う番だとばかりに、私も同じように白猫のロボットを注文し、また家族が増えた。

2代目の名前は「ルル」。元気に声を出し、あくびもして笑わせてくれる。胸をなでれば本当の猫のようにゴロゴロいう。歩きこそしないが気持ちの半分以上は癒やしてくれる。初代は単2電池を6個も使ったけれど、2代目は3個で私たちを慰めてくれるのだ。