うち飯でカンパイ! 和洋中・エスニックの料理に精通するフードジャーナリスト・野澤幸代さんが、とっておきのお酒とメニューを提案。今回はにんじんのレシピです(文・イラスト=野澤幸代)

無垢の野菜に合わせるとお酒の味もクリアに

野菜の目利きとして知られる「築地御厨(みくり)や」の内田悟さん。レストラン専門の青果卸店を営みながら、一般の人にもっと野菜を知ってもらいたいと「やさい塾」を開いています。

『幸福の晩酌 胃と心にやさしい94皿(電子版)』著:野澤幸代(中央公論新社)

私は内田さんの本の編集を2冊手伝いましたが、まさに目からウロコ。さらに感激したのはその料理のおいしさと独自性。元フレンチのシェフだけあって、店のまかないも作り、それがまたシンプルでおいしいのです。

内田さんがにんじんを丸ごとゆでたのには驚きました。コトコトゆでて20〜25分。その甘さといったら! 香りも滅法強い。食べ比べると、切ってゆでたにんじんが水っぽくて味がないと感じるほどです。

麦焼酎〈百年の孤独〉
蔵元は宮崎県の黒木本店。焼酎粕を肥料にする有機栽培で原料の二条大麦を作る、農業に根ざした蔵元。オーク樽で熟成させた琥珀色の焼酎はアルコール度数40%なのに、ツンとしたところがなくまろやかで芳醇。

 

丸ゆで信奉者となった私は塩胡椒でステーキのごとく食べるし、ごま和えだって砂糖なし。野菜に力があれば調味料はミニマムで十分。

無垢の野菜に合わせるとお酒の味もクリアに感じます。なれば、いただきものの秘蔵品〈百年の孤独〉を開けるといたしましょう。

 

一度食べればやみつき! おつまみレシピ

にんじんのゆでステーキ(イラスト:野澤幸代)