特例貸付制度の利用について窓口で相談する利用者。自治体では独自の貸付制度を行っているところもあるので、まずは情報を集めて
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、「減収家庭・企業への支援策」について解説します。

小口・無利子で利用可能。 貸付制度が拡充されています

日本経済が新型コロナウイルス蔓延のため、大きな打撃を受けています。経済対策のひとつとして、2020年3月25日、都道府県の社会福祉協議会が行う「生活福祉資金貸付制度」の「緊急小口資金」対象が拡充されました。休業等で収入が減り、貸付が必要な人に対して、特例で「20万円以内、返済期間2年の貸付」を行うというものです。

困窮している人に対しては同制度の「総合支援資金」で、2人以上の世帯だと月20万円以内、単身者は月15万円以内を、3ヵ月まで借りられます。返済は10年以内(据置期間1年以内)。つまり、夫婦2人の場合、月20万円×3ヵ月で最高60万円のお金が借りられます。

この2つの制度を併用することも可能ですから、最高80万円まで、無利子で借りられることになります。返済期限がきても、その時に困窮していたら、返済しなくていい。制度のパンフレットにも、「今回の特例措置では新たに、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」と明記されているからです。

また、経営が悪化するなかで雇用を維持する事業者には、休業手当などの一部を補助する「雇用調整助成金」の支給要件も緩和されています。事業者が支払う給料は、平時なら大企業は2分の1、中小企業は3分の2が助成対象。緊急事態宣言の発令地域では、割合がそれぞれ3分の2と5分の4に上がります。

政府からは、1人あたり10万円の現金給付策も発表されました(4月22日時点)。今後も国の経済対策に注目して、申請できる制度はしっかり使いましょう。