クリムト展
ウィーンと日本 1900

〜7月10日
東京都美術館 企画展示室
☎03・5777・8600(ハローダイヤル)※以降、愛知に巡回

全長34mを超す大作も再現。
「黄金様式」の時代の傑作が集まる

ウィーン世紀末の巨匠グスタフ・クリムト(1862-1918)。彼の世界的に有名な作品を所蔵するベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館をはじめ、国内外より25点以上ものクリムトの油彩画を紹介する、日本では過去最大となるクリムト展である。

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》1901年油彩、カンヴァス84×42㎝ウィーン・ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館©Belvedere,Vienna,Photo:JohannesStoll

ウィーン美術工芸学校の優等生で、20代の頃より劇場や美術館など公共施設の壁画を手がけていたクリムトは、ウィーン美術界の担い手として将来を嘱望される存在であった。しかし35歳の時に保守的な画壇に反発して「ウィーン分離派」を結成。以後彼は、絵画、彫刻、建築、工芸の融合した総合芸術を目指して、より前衛的な芸術表現を模索した。

その代表的な作品が《ユディトⅠ》だ。祖国のために敵将の首を斬り落とした「ファム・ファタル(宿命の女)」を表現した本作は、クリムトが画面に金箔を多用した「黄金様式」の時代初の作品。この工芸的な質感が、ともすれば生々しくなる官能的な女性像に、現実を超越した不思議な魅力を与えている。そのほか交響曲第9番に着想を得た壁画《ベートーヴェン・フリーズ》も、クリムトの「黄金様式」時代の傑作である。本展では、この全長34mを超える大作を、精巧な原寸大複製により、壮麗な空間ごと再現する。

グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年)216×3438㎝ウィーン・ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館©Belvedere,Vienna

奇しくも同時期(4月24日〜8月5日)、東京・六本木の国立新美術館では、19世紀末から20世紀初頭にかけてのウィーンの芸術文化を幅広く紹介する「ウィーン・モダンクリムト、シーレ 世紀末への道」が開催される。こちらとセットで観れば、クリムトがどのような時代に芸術活動を行ったのか、理解がいっそう深まるに違いない。

 

印象派からその先へ─
世界に誇る吉野石膏コレクション

〜5月26日
名古屋市美術館
☎052・212・0001 ※以降、兵庫・東京に巡回

あの企業の驚きの所蔵品

川崎造船所社長・松方幸次郎が収集した松方コレクションや、倉敷の実業家・大原孫三郎が集めさせた大原美術館の作品群など、日本には数々の優れた西洋美術のコレクションが存在する。以上は20世紀前半に築かれたものだが、第二次世界大戦後も美術振興や文化貢献の名のもとに、素晴らしい西洋美術コレクションが形成された。そのなかのひとつが、中部地方への巡回は今回が初めてとなる、吉野石膏コレクションである。

現在、その大半を山形美術館で観ることができる同コレクションのフランス近代絵画は、1980年代後半より本格的に収集が始まった。バルビゾン派からエコール・ド・パリまでを網羅し、ゴッホやシャガールなどの若い頃の作品も観ることができる、西洋近代美術史をたどる最高の教科書だ。本展では10歳の少女を描いたルノワールの美しいパステル画《シュザンヌ・アダン嬢の肖像》など72点を紹介。「吉野石膏がこんな作品を持っていたのか!」と驚かされることだろう。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《シュザンヌ・アダン嬢の肖像》1887年パステル/紙吉野石膏コレクション

 

ムーミン展
THE ART AND
THE STORY

~6月16日
森アーツセンターギャラリー
☎03・5777・8600 ※以降、大分・愛知に巡回

フィンランド生まれの
あの仲間たちに会える!

今年3月、埼玉県飯はん能のう市にムーミンバレーパークがオープンして話題を呼んだが、東京・六本木でもムーミンの魅力を約500点の作品で紹介する展覧会が開催中だ。フィンランドの芸術家トーベ・ヤンソン(1914-2001)がムーミンとその仲間たちを生み出して74年。長く世界中の人々を魅了してきたムーミンの世界を、小説や絵本の原画はもちろん、フィギュアやカードなどの貴重なグッズとともに一望できる。ヤンソンと日本との知られざる関係を展示するコーナーも。

トーベ・ヤンソン《「ムーミン谷の彗星」挿絵》1946年、1968年(改作)インク・紙ムーミン美術館©MoominCharactersTM