草間彌生《たくさんの愛のすばらしさ》2019年 アクリル絵具、キャンバス100.3×100.3 cm 所蔵:有限会社 ティーパーティー

 

6名の有名アーティスト作品が集結

1990年代以降各地に誕生した現代美術館や、トリエンナーレといった国際展、瀬戸内海の直島などのアートスポットにより、現代美術はかつてなく親しみやすくなってきた。とくに国際的に活躍する日本人作家の存在は、近年の人気の大きな要因だ。本展「STARS展:現代美術のスターたち─日本から世界へ」は多様な地域や世代を超えて高い評価を得ているアーティストを選び、その軌跡を紹介する。

ここで取り上げられるのは、国内外で絶大な人気を誇る草間彌生、素材にフォーカスする「もの派」を牽引してきた李禹煥(リウファン)、デジタルカウンターを使ったインスタレーションで知られる宮島達男、若者の人気を二分する村上隆と奈良美智(よしとも)、そして固有のコンセプトや美学がきわだつ写真作品が注目される杉本博司の6名。

宮島達男《Sea of Time ’ 98》1998年展示風景:「家プロジェクト『角屋』」ベネッセアートサイト直島(香川)撮影:上野則宏

なかでも草間彌生は、60年代にニューヨークで活躍し、90年代以降は、ポップな色彩とカボチャや花、水玉模様など親しみやすいモチーフの作品で、カリスマ的な人気に火がついた。《たくさんの愛のすばらしさ》は、彼女が2009年から描いてきた絵画シリーズ「わが永遠の魂」のなかの最近作。20年現在、600点を数えるこの連作は、草間自身が「生命の賛歌」と称する、豊穣なるイメージの集積だ。

また、直島の古民家に色とりどりのデジタルカウンターが光る《Sea of Time ’98》の作者・宮島達男は、仏教的思想やテクノロジーの要素を融合させて、時間という概念を取り扱った作品で知られている。このほか本展は各美術家の過去の代表作を、最新作とともに紹介する。ぜひ日本の現代美術入門として、展覧会を楽しみたい。

 

 

*****

真価は美人図にあり

江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎(かつしかほくさい)の、生誕260年を記念して開催される展覧会「北斎の肉筆画 版画・春画の名作とともに」。北斎の代表作といえば、まずは各地から見える富士山を描いた「冨嶽三十六景」のシリーズや、さまざまなモチーフを絵手本としてまとめた『北斎漫画』といった印刷物が頭に浮かぶのではないだろうか?

だが意外なことに、彼は肉筆画の名手でもあった。本展は、箱根にある岡田美術館が所蔵する北斎の肉筆画10点を中心に、版画・版本を含む全17点を一挙公開。

とくに注目したいのは、90年の生涯で何度も雅号を変えた北斎が、まさに「葛飾北斎」と号していた50歳前後に描いたと考えられる《夏の朝》である。新妻が朝化粧をする場面という、一般家庭の女性を描いた北斎の肉筆画中屈指の美人画だ。本作と同時期に描かれた《美人夏姿図》(個人蔵)との豪華競演も楽しみである。

葛飾北斎《夏の朝》(部分)19世紀初頭岡田美術館蔵

 

 

*****

レトロとモダンが同居する東北の新しいアートスポット

明治時代から昭和の半ばまで、酒造工場として稼働していた「吉野町煉瓦倉庫」。青森県弘前市を代表する煉瓦造りの近代産業遺産が、このたび「弘前れんが倉庫美術館」という形でリニューアルされた。改修を担当したのは、今注目の若手建築家・田根剛(たねつよし)。既存の煉瓦壁を保存しつつ、高度な耐震補強を施した美術館はレトロでありながらモダンな空間が心地よい。今後は現代アートの展覧会場や地域の人々とアートをつなぐコミュニケーションの場として使われる。東北の新たなアートスポットに注目したい。

美術館外観