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5月31日時点で、180万人超の新型コロナウィルス感染者を出しているアメリカ。その中で、ハワイ州は早期に対策を講じたこともあり、感染者数は全島、海外滞在中のハワイ居住者を含めて651人(うち死者17人)。最近は新規感染者がゼロの日も多い。しかし、観光業で成り立つ島は、経済的に大きな打撃を受けている。(文=堀内章子)

自宅隔離措置に違反して、逮捕された新婚カップル

5月5日、カリフォルニアからハワイに新婚旅行に来ていたカップルが警察に逮捕された。ハワイ州の「自主隔離措置」に違反したためだ。

3月17日、感染者が50名以下だったにもかかわらず、ハワイ州のデイビット・イゲ知事は「渡航自粛宣言」を出した。日本から観光客を乗せた飛行機を、毎日20便以上も迎え入れるハワイ。そんなお得意様である日本、中国に対して「こないでください」と声明を出したのには、ハワイに10年以上住む私にとっても驚きのニュースだった。

さらに、3月26日、州知事は、ハワイ州に入ってくるすべての人に対して、到着後14日間の自己隔離を命じる新たな緊急宣言を発表した(現時点で6月末まで)。旅行者は滞在先の宿泊施設(ホテルやコンドミニアムなどの部屋)で自己隔離となり、レストランやプールなどの公共施設を利用することができない。

冒頭のカップルは、ホテル側に止められたにもかかわらず、複数回外出し、インスタグラムなどに画像をアップ、逮捕される結果となった。最終的にはハワイ州から出ていってもらうことに。

それほど、ハワイ州は新型コロナの封じ込めに必死なのだと言える。

ハワイ居住者に対しては、3月26日に「自宅待機令」が発令。生活必需品の購入以外のための外出は禁止となり、それを破ると罰金あるいは禁固刑を受けることになる。そのため、皆、ひたすら自宅にいる状態が続いた。

在宅勤務できる者はまだいい。従業員を解雇したり、レイオフ(企業が労働者を一時的に解雇すること)したりする企業が増えた結果、失業保険の申請者数がうなぎのぼり。4月上旬にはハワイ大学のエコノミストが労働人口の25%に及ぶだろうと予測していたが、最近の報道では37%が失業申請を出したのだとか。