イラスト:ソリマチアキラ
離れて暮らす親の家に行き、とんでもないものを見つけてしまった……。おしゃれなホテルマンだった父を亡くし、実家の片づけを始めた恵さん(仮名)がみつけたものは。(「読者体験手記」より)

片づけたくても思うように進まない

父は2018年12月に嚥下障害による肺炎で亡くなりました。前年大腸がんが見つかり、手術をしたものの、まれに起こる縫合不全で予後が悪く、敗血症や肺炎を繰り返した末のことです。最後の頃は、70キロ以上あった体重が30キロも減り、水もとろみをつけないと飲み込めないほどに。

それでも本人は生きる希望を持っていて、お医者様に「覚悟してください」と言われ、家族みんなでお見舞いに行った時も、最後まで茶目っ気がありました。「そこのコンビニで豆大福を2個買ってきて、一緒にお茶を飲みたいね」などと孫娘に言っていたものです。その1週間後に85歳の誕生日を控え、逝ってしまいました。

私たちきょうだいが家を出て、夫婦二人の生活になってから、両親はモデルハウスを安く移築するプランに応募し、見事当選しました。母が亡くなってからも父は9年ほど、一人でそこに住んでいたのです。弟も私もそれぞれ持ち家があるので、もう誰もその家に住むことはありません。いずれ父母の家を処分しなければならないのです。

私と、「断捨離」が得意な私の次女とで1年くらいかけてゆっくり片づけていくつもりですが、実際はなかなか思うように進みません。

ずっと気になっているのが、吹き抜けになった2階のオープンスペースに鎮座する超重い電動麻雀卓です。父は生前、麻雀好きが高じてこの雀卓を購入し、自宅でお仲間と楽しんでいました。

一昨年には麻雀牌が傷んだというので、象牙の牌を贈ったら、とても喜んでくれたものです。これらは大きな椅子4脚とともに「どこかに売らずに譲ってください」と、お仲間だった方に言われていますが、設置場所に困っているのか、引き取りの連絡はまだありません。

お洒落なホテルマンだった父はスーツもたくさん持っており、形見分けをしたいのですが、弟が「親戚の男性に集まってもらって分けよう」と言うのでままなりません。

ならばできるところから片づけようと、カップボードにある父の洋酒のコレクションを処分することから始めました。今どきの業者とのやり取りは、LINEで画像を送り査定をしてもらい、荷造りして発送するシステムです。封を切っていない高級酒を20点あまり詰めると、箱の重さは30キロを超えましたが、買取価格は10万円近くになりました。

読書家だった父は蔵書もたくさんあり、2日掛かりで段ボール30箱に詰めて古書店に持ち込みました。1500冊はありましたが、買取価格はわずか。5つの書架がカラになり、それらも処分してすっきりしました。