大切に保存されていたパンフレットにハッとする

そして何よりも衝撃的なものを見つけてしまったのです。300枚はあろうかという大量のアダルト系のDVD! ソファの裏に2つの不織布の袋に分けて隠してあり、すべてビニールの簡易ケースに収納されていました。写真入りのパンフレットも大切に保存されていたので、内容を察したのです。

DVDの10枚に1枚くらいの割合で父の手書きのコメントが添えられていました。お伝えするのは憚られますが、鑑賞後のひとこと感想です。一般に市販されているものではないので、ケースやディスク自体に内容説明が一切ありません。

父は大阪の業者から定期的に購入していたようです。そういえば、父の入院中に留守宅に届いた、差出人のないいかがわしい封書カタログを何度か処分したことがあったと思い出しました。

弟と「どうしよう……」と顔を見合わせました。「シュレッダーを買うよ」と弟が言ってくれたのですが、それを買うお金ももったいないので、しばらくして私が処分することにして持ち帰りました。

実家から離れた我が家で不燃ごみに出すためにシュレッダーバサミで切ろうとしましたが、刃が立ちません。しかも、割れたDVDの破片が飛び散り危険です。普通のハサミで地道に切ろうと頑張っていたら、連れ合いが「危険だから少しずつボクが切ってあげる」と、まるごと持って行ってしまいました。

あれ? やけに静かなので様子を見に行くと、案の定、鑑賞しつつハサミで切っているではありませんか。夫が切るのに手を痛めたので、結局、シュレッダーを購入しました。とんだ出費です。

また、別の日のことですが、父の部屋にあった金庫を開けることにしました。金庫の中に、私が大学生の頃父に送った手紙が大切そうに仕舞われていたのは感激しましたが、奥の奥から知らない女性の上半身ヌードの写真が! 「誰?」。裏書きもなく、スタジオで撮ったらしい謎の生写真です。

がんになってからも、本人はいたって前向きにこの家に帰るつもりだったので、家族に見つかるとは考えなかったのでしょう。大量のコレクションを前に、しょうがないなあと呆れはしたものの、お茶目な父の笑顔を思い出すと、不思議と責める気持ちにはならず、笑いがこみあげてくるのでした。


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