ロボット義足や、最速の競技用義足を開発する遠藤謙さん。最先端のテクノロジーで、将来の社会変革を目指す技術者としての挑戦や、目指す未来について伺いました

対談ダイジェスト

二足歩行は、歩く手段の1つ

竹内遠藤さんが義足エンジニアとして大きな注目を集めたのは、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックでした。日本代表の佐藤圭太選手が、陸上競技の400メートルリレーで銅メダルを獲得。そのとき装着していたのが、遠藤さんが代表を務める「サイボーグ」が開発した競技用義足でしたね。

遠藤競技用義足の世界では、2つの海外メーカーがシェアを独占しているんです。そのなかに、開発を始めて2年足らずの日本発のベンチャーとして参入し、パラリンピックという大きな舞台で成果を出すことができたのは、僕にとっても大きな自信につながりました。

竹内あのときは日本の技術力を世界に示すことができ、僕も誇らしい気持ちになったのを覚えています。それともう1つ、遠藤さんの活動で注目を集めているのが、「乙武プロジェクト」です。生まれつき手足がなく、歩いたことのない乙武洋匡さんがロボット義足を装着し、7メートル以上もの歩行に成功したときには本当に驚きました。

遠藤乙武さんのような重度の障害を持った方でも、歩けるようにしたい。これが「乙武プロジェクト」の大きな挑戦ですが、それだけが目的ではないんです。「歩ける」というより、移動手段の選択肢を増やしたいという思いがあって。乙武さんは40年以上も車椅子の生活を続けていますが、便利だから車椅子を選んだのではなく、ほかに方法がなかったからです。ロボット義足で歩くという選択肢はありませんでした。たとえばですが、ドローンのようなものを人が装着して移動する技術が開発されれば、選択肢はさらに増えます。今の社会では、二足歩行が当たり前だと思われていますが、それは健常者の一方的な思い込みです。二足歩行は歩く手段の1つにすぎず、ほかにも選択肢があって、誰もが自分に一番合った方法を選ぶことができるようになれば、「障がい者はかわいそう」という意識自体がなくなるかもしれません。