イラスト:大高郁子
今まで縁がなかった親戚や、まったく知らなかった故人の交友関係が明らかになる葬儀。思いもよらぬ展開になることも……。平出さん(仮名)の場合は、疎遠だった伯母たちの登場に戸惑ったそうです。(「読者体験手記」より/イラスト=大高郁子)

5人姉妹でも面倒をみるのは末っ子の母だけ

毎年祖母の命日が近づくと、お葬式の顛末を思い出しまた怒りがこみ上げる。祖母が亡くなったのは2013年9月、94歳のとき。亡くなる8年ほど前から認知症を患っており、最後はほとんど寝たきりの状態だった。

祖母は夫である祖父を早くに亡くし、5人の娘の末っ子である私の母と同居していた。孫の私は結婚して近所に住んでいる。

物静かで優しい人だったが、あるときから「物がない! お金を盗まれた!」と大騒ぎするようになり、病院でアルツハイマー型の認知症と診断された。進行が早く、自宅での介護は家族に負担が大きすぎると助言され、在宅介護をしながら施設への入居を待つことになった。

母は同じ市内に住む4人の姉たちに状況を説明し、「元気なうちに顔を見せに来て」と幾度となく電話をしたが、彼女たちは誰一人として訪れなかった。日に日に祖母の症状は進行し、世話をする母の心身が限界に達する頃、200人以上の順番待ちと言われた老人ホームへ奇跡的に入居が決まった。ところが、母が伯母たちにそのことを伝えると、信じられない発言の数々が返ってきたのだ。

長女伯母「まあ仕方ないわね」。まるで他人事。

次女伯母「まだ早いんじゃないの~?」

三女伯母「面倒見たくないから施設に突っ込むの? 勝手にすれば。相談してこないで」

四女伯母「栄養のあるもの食べさせないとボケるらしいよ」。ちゃんと食べさせていました。

母は大きなため息をつきながら、淡々と手続きを済ませ、秋の初めに祖母を施設に入居させた。その後7年間、伯母たちが祖母のもとを訪れることは一度もなかったのだ。施設に支払う費用はすべて両親が工面していたが、お墓代なども含め、伯母たちに「5人で少しずつ出し合うことができないか」と相談したそうである。しかし、誰にも賛同してもらえず、さらにその時の次女の発言に私は耳を疑った。

「あんたたちが引き取ったんだから、今さら困るわ。うちだって逆立ちしても鼻血も出ないくらいお金ないわよ!」とにべもなく言い放ち、一方的に電話を切られたという。