イラスト:マルー
阿川佐和子さんが『婦人公論』で連載しているエッセイ「見上げれば三日月」の配信が始まります。今回のテーマは、新型コロナウィルス感染症の流行による「おこもり生活」で、発見したこと。いったいどんな気づきがあったのでしょうか

このたびの蟄居生活で発見したことがたくさんある。

最初に驚いたのは空の美しさであった。経済活動が滞ると、人間は息苦しくなるが、その分、空はのびのびと深呼吸をしているように見える。心なしか緑や花も色鮮やかに映る。科学的根拠のほどはわからないけれど、都会で人間が動き回るということは、それだけ自然界に排出するものが大きいのだろうか。

欲しいものは買わなくても自分で作ったり手近にあるもので済ませたりできることにも気がついた。その一例がマスクである。いっときマスクパニックが発生して大騒ぎになったが、まもなく収まった。急遽増産し、需要と供給のバランスが取れたせいもあるだろうが、それだけではない。多くの人が「なんだ、作ればいいんじゃん」と気づいたからではないか。私もミシン要らずのガーゼハンカチマスクを作った。そのことをこのページで書いた。ここだけでなくあちこちで披露して回った。でも、真似してみようと言ってくれる人は一人も現れず、残念であった。

さらに気づいたことは、外食をしなくても太ることである。かつて私は、外食が続くから太るのだと信じていた。ことに年末年始の宴会が増える時期は気をつけなければならない。あっという間に体重計の数字が増す。

「外のお店だとつい調子に乗って食べ過ぎたり飲み過ぎたりするので、週に二回くらいは自宅で食事をするようにしないと、たちまち太ります」

こう発言していた私がこのたびの自粛期間中、毎日欠かさず自宅で作っては食べ、食べては寝る生活を繰り返していたら、あっという間に1.5キロ太った。

そんなにカロリーの高いものを食べているつもりはない。お酒とて晩酌にビール一本くらいである。それなのに太る。なぜだろう。食べた分だけのエネルギーを消費していないせいだ。