《唐獅子図屛風》狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀 東京・宮内庁三の丸尚蔵館蔵 後期展示

金色の巨大な屛風をはじめ時代を映す芸術の競作

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が天下取りを目指した安土桃山時代。本展は、1573年の室町幕府の滅亡から1603年の江戸幕府開府までの30年間で花開いた桃山文化を中心に、激動の100年に焦点をあて、日本人の美意識がどのように変化していったのかを約230件の作品で紹介する展覧会だ。

時代を映す豪華絢爛な桃山時代の美といえば、まずは、天下人の城を飾った金碧障壁画(きんぺきしょうへきが)が挙げられる。その代表的な作品が、《唐獅子図屛風》。縦約2m20cmという巨大な屛風に、金地金雲を背景として2頭の唐獅子がゆっくりと進む姿を描く。

作者は、一族の絵師集団を率いて信長の安土城や、秀吉の京の城・聚楽第(じゅらくだい)などの装飾にあたった桃山画壇の覇者・狩野永徳。「桃山」という時代の雰囲気を、見事に可視化してみせた画家である。なかでも堂々たるこの《唐獅子図屛風》は、「天下人の時代」をこれ以上ないほど映した作品。一度はご覧になることをお勧めする。

この永徳に挑み続けたライバルが、長谷川等伯である。彼の華麗な金碧障壁画では、永徳亡き後、秀吉が等伯ら長谷川派に命じた祥雲寺(現・智積院)の《楓図壁貼付》が有名だ。また、趣を異にする水墨画の最高傑作《松林図屛風》(10/20 ~ 11/29展示)も公開されるのでお楽しみに。

国宝《楓図壁貼付》長谷川等伯筆 安土桃山時代・文禄元年(1592)頃 京都・智積院蔵 通期展示

そのほか千利休や古田織部の茶道具や、家康の時代に「琳派」の美意識を生み出した本阿弥光悦(書)と俵屋宗達(絵)による《鶴下絵(つるしたえ)三十六歌仙和歌巻》(前期展示)、また徳川幕府の新しい伝統を二条城二の丸御殿に格調高く描きあげた狩野山楽の《松鷹図襖・壁貼付》(通期展示)など、教科書でお馴染みの作品がズラリと並ぶ。ぜひそこに、当時の日本人の心のありようも読み取りたい。

*****

作品のデジタル数字に「0」はない

LED(発光ダイオード)のデジタル・カウンターを使用した作品で知られる、日本を代表する現代美術家・宮島達男(1957-)。併設されていた区役所が移転し、建物すべてが美術館となった千葉市美術館での初の展覧会は、首都圏では12年ぶりとなる彼の大規模個展である。「クロニクル(年代記)」というテーマのもとに、1995年から2020年まで、4半世紀にわたる宮島の活動を紹介する。

パフォーマンス映像やプロジェクトから生まれた作品など、さまざまな展示があるなかで、やはりデジタル・カウンターのインスタレーションは必見。《地の天》は、恩師である榎倉康二の訃報を受け、追悼の意を込めて制作された作品。当時実用化されて間もない青色LEDを使用していることでも話題となった、千葉市美術館が誇るコレクションだ。

ちなみに命の輝きを表す宮島のデジタル数字には「0」がないことを覚えておきたい。1から9を永遠に繰り返すことで、東洋的な輪廻転生の生死観を表現しているとも言われる。

宮島達男《地の天》1996年 千葉市美術館蔵

*****

世界を切り取る枠の存在窓をモチーフとして捉える

光を取り入れ、風を通し、美しい景色を眺め……。私たちの生活に欠かせない窓は、四角い枠で世界を切り取る絵画作品にたとえられることがある。

香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開かれる本展では、近代から現代の美術において、窓がどのように描かれ、どのような意図をもって表現されているのかを紹介する。

たとえば奈良原一高の《沈黙の園6》における男子修道院の窓は、聖俗の世界を隔てる結界、あるいは、神の光を届ける祭壇のようでもある。

奈良原一高《〈王国〉より 沈黙の園6》1958年、東京国立近代美術館蔵(c)IKKO NARAHARA