日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修)から、身のまわりの植物のマメ知識を紹介。今回は、【キンモクセイ】のマメ知識です。

キンモクセイ(金木犀)
[科名]モクセイ科
[原産地]中国
[花言葉]謙遜、気高い人、志の高い人、変わらぬ魅力
[科名]モクセイ科
[原産地]中国
[花言葉]謙遜、気高い人、志の高い人、変わらぬ魅力
花は咲くのにタネができない理由
キンモクセイは小さな黄金色の花をいっぱい咲かせますが、タネはできません。「なぜ、タネができないのか」との疑問がもたれます。
キンモクセイには、イチョウと同じように雄株と雌株があります。雄株と雌株は別々であっても、イチョウの雌株にギンナンができるように、キンモクセイの雌株にはタネができるはずです。ところが、日本には、キンモクセイの雌株がないのです。江戸時代に中国から日本にもたらされたのは雄株だけなのです。そのため、タネができないのです。
同じように、強い香りを漂わせるジンチョウゲも、タネをつくりません。キンモクセイとジンチョウゲには、花の香りを遠くへ飛ばすこと以外に、共通の性質がもう一つあるのです。
ジンチョウゲが、タネをつくらない理由は、キンモクセイと同じように、日本には雌株がないことです。印象深い甘い香りを発散させて春に花を咲かせているのは、すべて雄株なのです。キンモクセイとジンチョウゲには、奇妙な共通点があるのです。