「もちろんお母さんの意思を最大限に尊重したいけど、そのときのお母さんがいちばんハッピーで笑顔になれる世話をしたいという気持ちがある。」(桃子さん)

身体介助はロボットに。家族は心のケアに専念

和津 そもそも私が「介護が必要になったら施設に入れてほしい」と思うようになったのは、10年ほど続いた母の介護でボロボロになって、介護うつになってしまったから。好きだった料理もできなくなっちゃって、人に会うのも怖くなって、夜中に庭の木を見ては、「あれで首を吊ったら……」とまで思うようになった。あんなにつらい思いを、あなたたちには絶対させたくない。

桃子 でも、今はそう言っていても、いざボケちゃったら、「なんで私を施設に入れるの!?」って、お母さんきっと暴れるよねって、サクラと話していたんだよね。(笑)

和津 いいの、暴れても無視して入れてちょうだい!(爆笑)

桃子 もちろんお母さんの意思を最大限に尊重したいけど、そのときのお母さんがいちばんハッピーで笑顔になれる世話をしたいという気持ちがある。だから、「このまま家で過ごしたい」って言われたら、喜んで自宅で介護をするつもり。それはサクラも同じ考えのはず。

和津 そう言ってくれるのはありがたいけど、性格的に、周囲から構われたい人と構われたくない人っているでしょ。私は誰かが自分のために気を使ってくれる状況が苦手なの。

桃子 お母さんはそうよね。

和津 自分が誰かに負担をかけていると思うと、余計に気疲れしちゃう。だから、子どもに介護されるなんてもってのほか。介護士さんにさえ、オムツを替えていただくなんて申し訳ないと思っちゃう。

桃子 それはわかる。私も病院で大腸検査をすすめられたとき、「医者にお尻を見せるなんてイヤだ〜!」って思ったもん(笑)。その恥じらいは、年をとっても変わらないよね。

和津 人間の尊厳というものがあるから。だから、私は介護ロボットに大いに期待しているの。

桃子 AIみたいな最先端の技術と、人にしかできないところをうまく使い分けできるといいな。

和津 自戒を込めて言うけれど、経験から考えると、オムツ替えや体位変換などの身体介助は、可能ならロボットに任せて、家族はおしゃべりを楽しんだり、心のケアに専念したほうがいい。だって、思い出を語れるのは家族しかいないでしょ。それでお世話をする側に精神的、体力的な余裕が生まれれば、私のように心身がボロボロにならずに済むから。

桃子 介護する側がうつにならないような仕組みは大切。だから前から話していたとおり、お母さんが「入りたい!」と思える施設を私が作ればいいんだ!

和津 そうよ。桃子とは話していることだけど、自分たちの介護経験を120%生かして、世の中のために何かしたいと本当に思っているのよね。