誰かに何かがあったら全員腕まくりでかけつける
桃子 お母さんは、人間は誰しも死ぬのが当たり前と、お葬式の段取りまで今から考えているくらいだしね。
和津 だってそれはポジティブな願いだもの。介護にしろお葬式にしろ、ネガティブに「子どもの世話になんてなりたくないわ!」と言っているわけじゃなくて、「自分の始末は自分でしたい」ということ。
桃子 私も子どもを産んで思ったけど、子どもが幸せなことが母親としてはいちばんハッピー。それだけで親は安心して死ねるよね。
和津 そうそう。
桃子 だから、「世話をしてほしい、してほしくない」ということよりも、最後までどう生きたいかという、自分の幸せをまず見つめることが大切なのかも。
和津 お葬式は人生最後のイベント。私は湿っぽいのはイヤだから、ロックンロールを大音量で流してもらって、みんなで「イエーイ!」って盛り上がって見送ってほしい。あと、死に化粧は絶対に腕のいいメイクさんに頼んでね。(笑)
桃子 ハリウッドから呼んじゃおうかな(笑)。ひとつ聞いておきたかったんだけど、お母さんのお葬式を撮影してもいい?
和津 もちろんOK! そのほかの演出も、あなたたちに任せる。
桃子 お母さんが望んでいる以上に派手に送り出すから、人生最後のお世話くらいは安心して娘に任せて。
和津 斎場の入り口にミラーボールを吊るすのもいいわね。
桃子 こうやってあらためてお母さんと話してみて、おばあちゃまのときは何も心構えがなかったから、精神的にみんなしんどかった。でもおばあちゃまが見せてくれた最期はとても濃かったから、そこからスポンと抜けたときに、私たち家族はまたスタートできたんだよね。
和津 本当にそうね。
桃子 おばあちゃまを中心に、もう一度円陣を組んだ感覚がある。
和津 うちは本当に互助会家族よね。誰かに何かがあったら、全員腕まくりでかけつける。
桃子 とくにお母さんは、私たちにたくさんの愛を与えてくれているから、みんなもお母さんに何かあったら、「よし! 恩を返せるチャンス」って感覚ではりきっちゃう。
和津 おばあちゃまがそうだったから。その姿を見て育っているから私もそうなったのだと思うし、そんな私を見てあなたたちが育っているからかもね。でも、恩返しは生きているうちによろしく!