出会う前から不思議な縁があったという、池畑慎之介さん(左)とつんく♂さん(右)
芸能生活50年を機に自ら1年3ヵ月の休養を取り、事務所を移籍した池畑慎之介さん。一方、つんく♂さんは2014年に喉頭がんのため声帯を摘出し、療養後に仕事復帰。ハワイに移住し幅広いプロデュース活動を行っています。この数年、働き方を見つめ直した二人が、国境を越えてリモートで語り合いました(構成=南山武志)

「ピーター」を卒業して気づいたこと

池畑 すみません。今そちらは夜中ですね。

つんく♂ いやいや、まだ21時なので大丈夫です。ちょうど子どもたちが宿題を終えて、床に就いたところで。

池畑 ハワイに移住なさって、どのくらいになるんでしたっけ?

つんく♂ 4年です。

池畑 まさか、新型コロナウイルスの感染拡大でロックダウン(外出禁止)になるなんて思いもしなかったでしょう。

つんく♂ まあ、ハワイ州の新規感染者数は連日3桁。人口を考えれば東京なら数千人規模ですからね。今は我慢するしかありません。

池畑 私も休養中の半年間をハワイで過ごしました。とてもいいところなのでまた行きたいのですが、今はそれができないので寂しくて仕方ないんですよ。

つんく♂ 「充電」が目的で、こちらに来られたんですよね。

池畑 はい。50年も他人が決めたスケジュールで生きてきて、このままで人生の最後に「ああ、楽しかった」と言えるのだろうか。そう自問して、休養をいただくことにしたのです。同時に、「ピーター」という名前からも卒業しました。いつの間にか年齢もキャリアも上がって、「ピーターさん」になってしまったことに、すわりの悪さを感じて。でも結局、休養中も行く先々で、「ピーター! 旅行なの?」とか声を掛けられて。

つんく♂ 僕もそう呼ぶな。(笑)

池畑 あらためて「看板」の浸透度というか、大切さに気づかされました。勝手に外しちゃって悪かったなって、反省もしているんです。ところでハワイ移住の一番の決め手は、何だったんですか?

つんく♂ ひとことで言えば、クリエイティビティ、創造のためです。病気をきっかけに「ハロー!プロジェクト」のプロデューサーから退いて時間的な余裕ができたし、新しい土地なら頭の中に違う回線ができて、新鮮な感覚で物事を生み出せるのではと。それまで年間100曲以上作ってましたから、飽和状態になってもおかしくない状況だよな、という気もしてた。