眼鏡をまた壊した。つい二ヶ月ほど前、壊したばかりなのに「また」である。使用頻度が高ければ、事故発生率も高くなるのが世の常とはいえ、「また」だ。
前回は顔にかけたままの状態で壁の出っ張りに気づかず、横からぶつかって、しかし鼻も顔も「痛ッ」くらいのショックで済んだのだが、その分の衝撃を眼鏡がすべて負ってくれたらしく、完璧にへしゃげた。やれやれ。歪んだ眼鏡を元のかたちに戻そうとゆるゆる触っているうち、つるを固定してあったネジがコロンと取れた。おっとっと。
さっそく購入先の眼鏡屋さんへ持ち込むと、
「ああ、ははあ、わかりました」
こういうことはよくありますよとばかり、慣れた手つきでへしゃげた眼鏡を確認し、十分ほどで見事に修理してくださった上、
「お代は?」
「いえ、修理代はけっこうです」
なんだか得した気分。壊れてもすぐに直してもらえる安心感。そう喜んだのも束の間。
「また壊しちゃいまして……」
愛想笑いをしながら眼鏡屋の店員さんに差し出すと、
「ああ、ははあ。これはこれは」
予感はあった。前回の損傷を捻挫と喩えるなら、今回の事故はどうやら骨折だ。それも粉砕骨折に近い。そんな気はしていた。一部、破片が飛んでいたぐらいだから。
ストレッチポールの上に仰向けになり、肩甲骨のストレッチを行っていたときだ。かけていた眼鏡をはずしてお腹の上に置き、目を閉じる。そのうちトロトロ眠くなり、目を閉じたままストレッチポールからずり落ちて、床にドカンと背中をぶつけた。その瞬間、腕に眼鏡が当たったような気はしたが、眠気に負けてそのままスースー。目が覚めて、眼鏡を探すとすっかり瀕死の状態だったのだ。
「残念ながらフレーム交換になりますね」
わかっております。で、おいくらくらい? 訊ねると、二万円以上はかかるとのお答え。
「そんなに!?」