「私は超のつくおせっかいなので(笑)、自分がやってみて本当にいいと思ったものは勧めたくなるんです。」(撮影=川上尚見)
20年春は出演舞台やコンサートが中止になり、家で過ごす時間が増えた前田美波里さん。これを機に改めて自分の体と向き合うことができたといいます。デビューから56年、女優として体のメンテナンスを欠かさずにきたプロの心がけとは──(構成=大内弓子 撮影=川上尚見)

<前編よりつづく

トレーニングは自力、ときどきプロの力

公演がしばらくないとはいえ、私は舞台人で、この肉体は舞台のためにある。ですから、いつ幕が上がってもいいように、体のメンテナンスは続けていました。ジムがクローズしていつものトレーニングができなくなってしまったのは困りましたけど、そのぶん家でできるトレーニングメニューを自分で組み立てて。

9年前から始めた「エゴスキュー体操」も毎日やっていました。体のゆがみを整えて、痛みや不調を根本から解消するというエクササイズです。ストレッチやヨガ、ピラティスのようなものを想像されるかもしれませんが、この体操は、体をパーツごとでとらえるのではなく、全身をひとつの部位として扱うところが特徴です。

たとえば、膝を痛めている人の場合、上半身を動かすエクササイズをすれば膝の症状が改善します。痛めた部位を動かさなくてもいい、というところが気に入りました。

セラピスト(トレーナー)の方に体のゆがみ具合を見てもらい、1時間半くらいかけてそれぞれのゆがみに合わせたメニューを作っていただく。そのメニューを、毎朝30~40分くらいかけてこなしていくと、骨盤が正しい位置に収まり、筋肉が目覚めていくのがわかります。

先日も、腰が痛いという演出家さんに、「やってごらんなさい」と初歩の体操を教えてあげたばかり。壁に背中をぴったりつけてから、両腕を肩の高さまで上げて、上半身だけをやじろべえのように左右に傾ける。ただそれだけの動きなんですが、効果抜群なんです。

私は超のつくおせっかいなので(笑)、自分がやってみて本当にいいと思ったものは勧めたくなるんです。将来もし高齢者施設に入るようなことがあったら、私がインストラクターになって周りの人に教えてあげようと思っているくらい。

自粛期間が明けてスポーツジムが再オープンしてからは、アクアビクスも再開しました。年をとると筋肉も硬くなり、ちょっとしたことでもケガをしやすくなりますから、膝や足に負担をかけない水中の運動っていいんです。私の場合はアクアビクスを基本に、音楽とともにジャンプするアクアダンスのクラスなどにも参加しています。

そのなかで、「ハイドロトーン」という、水の抵抗を増幅させる器具を体につけて水中を歩くクラスは、日ごろ鍛えている私でもかなり苦しい。でも、ジムからの帰り道には、足の裏の筋肉を隅々まで使って歩いていることを実感できます。

そんなふうに、自力でできるトレーニングを続けていますが、本格的なメンテナンスは、もちろんプロの力をお借りすることも多いですね。

私に限らず長期間に及ぶ舞台をやっている人は、体を酷使するので常によりよいものを探しています。楽屋では体にいい食べ物や健康法などの情報交換をすることも。無理をせず、人に助けていただくのも、大切なことだと思っています。