シャルル=フランソワ・ドービニー《オワーズ河畔》1865年頃 油彩/板 32.2×56.8cm ランス美術館 ©Christian Devleeschauwer

 

シャルル=フランソワ・
ドービニー展

バルビゾン派から印象派への架け橋

〜6月30日
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
☎03・5777・8600(ハローダイヤル)
※以降、鹿児島、三重に巡回

パリ郊外の穏やかな景色を
アトリエ船で旅して

19世紀のフランスを代表する風景画家、シャルル=フランソワ・ドービニー(1817-78)。本展は彼の画業を日仏の美術館や個人蔵の作品で紹介する、国内初のドービニー展である。

1830年代半ばより、パリ郊外、フォンテーヌブローの森近くのバルビゾン村に滞在し、豊かな森や農村の風景を描く画家たちが現れた。その代表格であるコローやミレーらと親しく、この村でも制作したドービニーは、日本ではバルビゾン派の画家と考えられている。しかし彼の画家としての真骨頂は、森ではなく水辺を描いたことだった。

シャルル=フランソワ・ドービニー《アトリエ船(版画集『船の旅』より)》1862年エッチング10・2×13・5㎝個人蔵

ドービニーが「水辺の画家」になるにあたって、重要な役割を担ったのが、アトリエ船ボタン号である。1857年、アトリエ小屋を備え付けた古い船を購入したドービニーは、12歳の息子シャルルをお供に、セーヌ川やオワーズ川流域へと旅に出た。船の中で絵を描く自らを描写した《アトリエ船》は、その時の楽しい思い出を収めた版画集『船の旅』の中の1枚だ。

そんな旅する画家ドービニーのお気に入りの場所が、後に彼の終の棲家となり、ゴッホ終焉の地として有名なオーヴェール=シュル=オワーズだった。オワーズ川が流れるパリ近郊の穏やかな田舎の風景を、ドービニーは数多く描いた。巨木の下で牛たちが草をはむ《オワーズ河畔》は、彼の典型的な水辺の風景画だ。この絵を描いた翌年、ドービニーは彼のファンであった23歳年下の画家モネに出会う。モネはドービニーにならってアトリエ船を入手し、ヨットレースなど新たな水辺のモチーフを描いていく。まさにドービニーは、バルビゾン派から印象派への架け橋だった。

 

オーバリン大学 アレン・メモリアル美術館所蔵
メアリー・エインズワース
浮世絵コレクション

—初期浮世絵から北斎・広重まで

6月8日〜7月28日
静岡市美術館
☎054・273・1515
※以降、大阪に巡回

米国女性が揃えた名品

アメリカ人の女性浮世絵コレクター、メアリー・エインズワース(1867-1950)。1906(明治39)年、アジア旅行の折に来日し、浮世絵に出会った彼女は、以後約25年にわたって、浮世絵のコレクションに情熱を傾けた。当時の著名な浮世絵収集家がほぼ男性であったなか、女性のコレクターは珍しく、わが国でも優れた審美眼の持ち主として知られていたようだ。彼女の集めた1500点以上もの浮世絵は現在、「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」として、彼女の母校、アメリカ・オハイオ州にあるオーバリン大学のアレン・メモリアル美術館に収められている。

コレクションは、墨一色の「墨すみ摺ずり絵え」などの初期浮世絵から、春信、清長、北斎、写楽、歌麿、広重ら「六大浮世絵師」の名品も揃い、世界に1点しかない貴重な作品なども含まれている。そのなかから200点が紹介される本展で、彼女ならではの視点やこだわりを見つけていくと面白そうだ。

東洲斎写楽《二代目小佐川常世 の一平姉おさん》アレン・メモ リアル美術館蔵

 

ルート・ブリュック
蝶の軌跡

〜6月16日
東京ステーションギャラリー
☎03・3212・2485
※以降、兵庫、岐阜、福岡に巡回

北欧の人気アーティスト
日本で初めての個展

母国フィンランドでは国民的な人気を博しているにもかかわらず、日本では広く紹介される機会のなかったセラミック・アーティスト、ルート・ブリュック(1916-99)の個展。名窯アラビアの専属美術家として約50年にわたって活躍してきた彼女の、初期から晩年までの作品約200点が、東京ステーションギャラリーに集結する。北欧デザインといえば、「明るく、かわいい」といった印象を持つ人が多いだろう。しかし彼女の場合、初期作品こそ愛らしいが、晩年になるにつれて、スピリチュアルになっていく。作風の変化に注目だ。

《蝶》1957年 タピオ・ヴィルカラルート・ブリュック財団蔵 Tapio WirkkalaRut Bryk Foundation’sCollection/EMMA-EspooMuseum of Modern Art©KUVASTO,Helsinki&JASPAR,Tokyo,2018C2531