絵:石黒亜矢子
詩人の伊藤比呂美さんが『婦人公論』で連載している「ショローの女」。夫が亡くなり、娘たちも独立、そうして伊藤さんは20年暮らしたアメリカから日本に戻ってきました。コロナ禍で生協に加入し、生鮮食品やお菓子を買うようになったという伊藤さん。注文のためカタログを見ていると、食べ物以外のものにも目がいってーー。

寂しい話をしよう。疲れ果てて、すっかり動けなくなり、何もやる気がなくなったとき、あたしは、オンラインで生協のカタログを見直す。

注文はとっくに書き込んである。いつも疲れ果てているから、ひんぱんに見直して、注文を書き加えたり消したりする。みんな生活の基本のものばかりだ。

生協で毎週注文するのは、阿蘇山麓の低温殺菌牛乳を一本、球磨酪農のくまさん牛乳を一本。この牛乳が買いたくて生協に入っている。最近は低温殺菌牛乳でケフィアを作る。

それから産直卵を六個に鹿児島産黒豚のあらびきウインナー。

ときどきレンジでチンのメンチカツ。

同じものばかり注文している。

生協はコロナ禍のあと再加入した。以前は受け取りに行けないのが続いてやめてしまったのだった。グループで受け取って仕分けする昔ながらのシステムで、前にも話したようにうちの集合住宅は仲の良いコミュニティだから、いないときでもみんなが快くやってくれる。それは全然気にしなくていいと言われるが、やっぱり毎週出られないのは気が重かった。コロナになってから、うちにずっといる。それで毎週受け取りに行ける。