絵:石黒亜矢子
詩人の伊藤比呂美さんが『婦人公論』で連載している「ショローの女」。夫が亡くなり、娘たちも独立、そうして伊藤さんは20年暮らしたアメリカから日本に戻ってきました。知り合いから猫を2匹譲り受けた伊藤さん。メイとテイラーと名付け、犬のクレイマーとはまた違う猫の生態に、日々興味深々です

猫は二匹で、そっくりで、灰色のがメイ、茶色のがテイラー。でも性格は違う。

まあ当然だ。カノコとサラ子だって顔も体形もそっくりでよく双子に間違えられたが、性格は新生児のときからぜんぜん違った。

メイは知性派で、キャリーに閉じ込めても開けて出てくるし、うちの玄関先にはお風呂のフタが(猫よけに)立ててあるが、それも隙間を見つけてすり抜けてくる。

仕事中にちょくちょく膝に飛び乗ってくるが、手荒な遊びは好きではない。あたしが彼の望むおだやかななでさすり以外のことをし始めると、さっと遠ざかる。

あたしは猫と手荒なことをして遊ぶのが大好きなのだ。

テイラーはハンターで、猫じゃらしを執拗に追いかけ、飛び上がり、つかんだら絶対に離さない。そして他者に興味がある。まずクレイマーに馴れたのはこの子だった。あそべあそべとからんでくるのもこの子で、揉んだり投げたり逆さに吊ったりしてやると、うれしがって爪を立てて抗戦してくる。

最初に会ったとき、他の子猫たちが寄ってきたのに、離れたところからじっとあたしを見つめていたのがこの子だった。ずっと見ていたその丸い目に、あたしのハートがどぎゅんと射貫かれたのだった。