右から関東裕美先生、山本浩未さん(撮影:天日恵美子)
40代以上の女性にとって、悩みのタネである白髪。 早い人では30代から現れ、何年、何十年もの間、染め続けているという人も少なくありません。 生活様式の変化で美容院に行く回数が減り、自分で染めるホームカラーが増えている一方で、いたちごっこのように染めることへのジレンマや、ヘアカラーで肌がかぶれるトラブルなど、課題も多いようです。 この先、白髪とどうつきあうべきか、安全なヘアカラーの極意、美しく染めるための適切なホームケアまで、皮膚科医の関東裕美先生に教えてもらいました
撮影=天日恵美子(人物)、文・構成=片岡えり

年齢を重ねてヘアカラーの悩みも増えてくる

関東 山本さんの髪色、きれいですね。白髪染めですか?

山本 いいえ、ヘナ※です。白髪が目立つようになった30代後半からヘアカラーで毎月染めていましたが、髪のダメージが気になり始めて、43歳でヘナに切り替えました。今はきっちり3週間に一度、美容院でヘナ染めをしています。

関東 ヘナは頭皮や髪に優しいけれど、白髪が人参色に。日本人好みに仕上がりにくいですね。

山本 私はヘナの後に、部分的にインディゴのような黒い植物系染料を足して色を調整しています。

関東 ヘアカラーで頭皮がしみたり、かぶれたり、という経験は?

山本 ありません。でも同世代の友人から、ヘアカラーで頭皮がかぶれたり、痒くなったりという悩みを聞くことが増えました。

関東 アルカリカラー※に含まれる成分は刺激が強く、《かぶれ》と呼ばれる接触皮膚炎を発症しやすいのです。しかも、年齢を重ねるほど皮脂分泌量が減ってくるので、頭皮が痒くなったり、しみたり、という刺激によるかぶれを経験する人が増える傾向が。

山本 生理の時、ヘアカラーをして刺激を感じることはありました。

「更年期は、免疫不安定世代。髪を染めるのは、体調が万全な時に」と話す関東先生

関東 それは一つの注意信号。刺激によるかぶれよりも深刻なのが、ヘアカラーによるアレルギーです。主成分のパラフェニレンジアミン※(PPD)はアレルギーを起こしやすく、染めるたびに湿疹ができたり、染めた後に時間差で生え際やうなじ、耳の周りに赤みや腫れ、ブツブツが出たり。重症化すると顔が腫れたり、アナフィラキシー状態になることも。一度強いアレルギー反応が出てしまうと、その後アルカリカラーを使うのは難しくなります。