そんな贅沢な話をするまでもなく、いろいろな人がコロナ収束後の夢を描いているにちがいない。料理人は熱風漂う厨房でマスクなしで料理作りに専念したいだろうし、医療従事者の方々は、ゴワゴワバサバサ音がする防護服やフェイスシールドをさっぱり脱ぎ捨てたいだろうし、あるいは大人数の仲間と肩寄せ合って飲み会をしたいと望む人もいるだろう。カラオケに行きたい、人混みで騒ぎたい、踊りたい、バーゲン会場で押し合いへし合いしながら掘り出し物を奪い合いたい、合唱したい、声を張ってスポーツ観戦したい、ヤジを飛ばしたい……。今まで当たり前にできていたことができなくなったとき、人はまず戸惑い、自らに我慢を強いた上でなんとか順応しようと努め、そしてまもなく夢想する。

あー、この束縛から解放された暁に、何をしてやろう!

人は変化を望む動物だ……と思う。昨日と違うことを喜んだり悲しんだりして、感情の起伏を繰り返しながら前へ進む。変えることで気分を刷新し、あるいは反省し、何かを学習する。もちろん、大きな変化を望むか、気づかないほどの小さな変化を好むか、人によってまちまちではあろう。しかしまったく同じ状況を維持したまま時を過ごすのは難しい。

もちろん自然は刻々と変化する。月は毎日、膨らんだりしぼんだりして我々の目を楽しませてくれるし、雲は留まることなく大空を流れゆく。木々の葉は色を変え、窓際で育てている豆苗はすくすくと伸びていく。みんな着々と生きている。そう思うと元気が出る。よし、自分も変わろう! そして眼鏡を替えたり髪型を変えたり、部屋の模様替えをしたり引っ越しをしたり、旅をしたいと願う。