写真提供:村井さん

ひとりで手術を乗り越えることができたら

夫は車で送ってくれると言ったが、ひとりで行くと断った。なんとなく、ひとりでやってみたいと思ったのだ。ひとりで手術を乗り越えることができたら、私は最強になれるかもしれないと無理矢理思い込んだ。

最寄り駅まで、それまでの3倍ほどの時間をかけて歩き、構内ではエレベーターやエスカレーターを駆使して移動した。それでも、呼吸は大いに乱れた。大学病院の最寄り駅に辿りつき、息も絶え絶えにタクシーに乗ると、明るい運転手さんが、「あなた、元気そうなのにどこが悪いの?」と聞いてきた。私はゼエハアしながら、「心臓が悪いんです」と答えた。すると運転手さんは、「なるほど! ここの大学病院には有名な先生がいるんだよね。だから、遠くから患者さんが来るんですよ。北海道とか、東北とか、遠いところからのお客さんをたくさん乗せましたよ。あなたもきっと大丈夫!」と言ってくれた。私は、タクシーの窓から見慣れない景色を見ながら、「本当だろうか」と考えていた。

※次回は4月7日(水)配信予定です

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