客席から万雷の拍手
最後の挨拶を前に、雪組組長・奏乃はるとが、退団者のメッセージを映像と共に読み上げた。今回はトップコンビのほか、彩凪翔、笙乃茅桜(しょうの・ちお)、煌羽(きらは)レオ、真地佑果(まち・ゆうか)、ゆめ真音(まおと)、朝澄希(あさずみ・まれ)の6人が退団する。
「しょうくーん」(彩凪)、「きいちゃーん」(真彩)と組長が愛称で呼ぶと、黒紋付、緑の袴姿の退団者が一人ずつ大階段を下りてくる。最後は全員で「のぞさーん!」と呼びかけた。最後の挨拶でどんな衣裳を選ぶかは本人次第。緑の袴の正装か、男役の象徴の黒燕尾か。望海は「男役としての姿をお見せしたい」と黒燕尾を選んだ。
バラのブーケを手に一礼すると、まずは全員で千秋楽を迎えられた喜びを語り、尽力したすべての人に感謝の意を伝える。スタッフ、組の仲間、真彩、そして「大切なファンの皆さま」と口にした途端、感極まった。「本当に毎日抱えきれないほどの幸せをいただきました。今はただ皆さまにお会いしたいです。私を見つけ、たくさんの愛を注いでくださり、ありがとうございました。また一緒に笑い合える日を夢見て。本日、望海風斗は大好きな宝塚大劇場を卒業します!」。客席から万雷の拍手が沸き起こった。
アンコールでは、映画館でのライブビューイングや生配信で楽しむ国内外のファンにも感謝の言葉を贈った。会場では三本締めならぬ「タタタン締め」で公演の成功を祝い、雪組特有の「どっせい!」の掛け声には、観客が手のひらを重ねた《雪組ポーズ》で応えた。望海は仲間から受けた楽屋入りのサプライズ演出も報告した。用意されたくまのプーさんの着ぐるみに身を包み、神輿に担がれながら化粧前を練り歩き、「朝から泣くわ笑うわ、大忙し!」と笑わせた。最後は望海と真彩が緞帳前でご挨拶。「最後の日まで宝塚生活を堪能します。皆さまもどうかお元気でお過ごしください」。
皆さまの愛に触れ幸せいっぱいです
「宝塚音楽学校合格発表の日。小林一三先生の銅像の前で「どうか私をこの夢の世界の一員にしてください。お役に立てるよう精一杯頑張ります」と誓い、今日まで生きてまいりました。大劇場に立つのが今日で最後という実感は湧きませんが、今寂しい気持ちと幸せな気持ちでいっぱいです。この舞台でさまざまな感情を知りました。人の優しさと愛情に触れ、さまざまな方の力に支えられ、今私はここに存在しています。大きな空のように受け止めてくださり、恵みの雨のように愛情をいただき、皆さまに育てていただいて、私はここで生まれました。雪組の皆さま、お客さま、本当にありがとうございました。」