写真を拡大 花を手にした退団者8名、左から朝澄希、真地佑果、笙乃茅桜、真彩希帆、望海風斗、彩凪翔、煌羽レオ、ゆめ真音(写真提供:宝塚歌劇団)

最終公演まで可能性を広げていきたい

毎回1万人近いファンが見送るパレードは、緊急事態宣言発出に伴い見送られた。ショー終了後に会見した望海は「朝から幸せな忙しさ」と今日一日を振り返る。

印象に残るサヨナラショーの曲には「Music is My Life」を挙げた。「それまでは楽しい気持ちが勝っていたんですけど、緑のペンライトが点った瞬間、何とも言えない気持ちがこみ上げてきて。あの瞬間が忘れられない」。最後の挨拶ではファンを思い、言葉を詰まらせる場面も。「今までいろんなことをともに乗り越え、退団も一緒に意識していくものだと思っていたので。(コロナ禍で)まったくお会いできない状態というのは初めての経験でした。ファンの方もいろんな思いを我慢して、私が幸せに卒業できることを一番に考えてくださっていたのも知っていたので、グッと来ました」。

劇団最古の花組に学び、培った基礎の上に雪組で磨いた個性が加わり、唯一無二の存在として大輪の花を咲かせた。根っからの宝塚ファンでも知られ、常に自己研鑽を怠らない。努力と情熱の人だ。最後となった大劇場に立つと、観客と過ごした18年間の記憶が思い出された。

「初舞台の時からこの場所でいろんな経験をさせていただき、育てていただいたんだなと。本当にたくさんの方と出会い、助けていただきました。この公演では舞台上からすべての人に感謝をお届けできればいいなと思っておりました」。真彩への思いも口にする。「今日できる最高のものをお客様に届けようと、どんな時も全力で挑んでくれました。その姿に私自身が助けられた。真彩とは東京公演まで可能性を広げていきたい」とさらなる飛躍を誓った。

使命を終えるその日まで、進化の歩みを止めない雪組トップスター、望海風斗。王道の風格と底知れぬ魅力をまとう令和のカリスマが今春、有終の美を飾る。

なお、開幕が半年遅れた影響で、退団日は4月11日に変更された。

望海風斗さん退団公演は、4月11日まで東京宝塚劇場にて上演予定です

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