同じ親から生まれたのに、どうしてこうも違うのか? 自分だけならまだしも、子どもまでが比較され……。きょうだいや親族からとの格差に悩まされてきた3人に話を聞いた

「優越感」のみが生きる支えの義姉

姉が2人いる末っ子長男と結婚したユキエさん(63歳・仮名=以下同)。結婚してからの36年、ずっと小姑2人の異常な振る舞いに翻弄され続けてきた。何事も一番でなければ気が済まない長女と、姉の後ろに隠れてこずるく立ち回る次女との付き合いに、ほとほと疲れ果てたという。

「頭が良くて美人だと、子どものころからちやほやされて育った長女の得意技は、威張る、自慢する、親族をけなす。次女はそんな姉の腰巾着に徹して、2人の標的は弟嫁の私です」

ユキエさんの夫も、学校の成績や進学先を姉たちといちいち比べられて辟易していたようで、「姉の相手はするな」と逃げの一手だった。

「無視しろと言われても、親族ですからまったく知らん顔をするわけにもいかず、年に2、3度は顔を合わせます」

そんなときは必ず、「うちの子の成績は学校で一番なのよ」「かわいいから誘拐されないか心配よ」「主人は部長になって、部下が30人になったの」と自慢話を連発してくる。

それに続くのはユキエさんの娘たちをけなす言葉だ。「誰に似たのかしら、かわいくないわね」「ちょっとぼうっとしてるんじゃないの」……。

そこに次女も加わって、「弟は二流の大学で、さらにユキエさんは短大出でしょう。だから子どもたちがいまひとつなのかしらねえ」と長女を煽るから始末に負えない。

夫が出世した、家を建てた、海外旅行に出かけた、ピアノの発表会で娘が一番上手だった……。口を開けば自慢ばかりの義姉を適当にあしらいながら、親戚付き合いをやり過ごしてきたユキエさん。何にでも優劣をつけたがる義姉たちを可哀そうだとも思っていた。

「私はただただ、子どもたちに害が及ばないようにしようと思っていましたね」

義姉の2人の娘たちは勉強ができ、ともに一流大学に入ったので、義姉の鼻はますます高くなっていった。放っておいてくれればいいのに、ユキエさんの子どもたちが受験時期を迎えると、「どこの大学を受けるの?」と探りを入れてくる。

「仕方なく、センター試験の点数を教えたら、うっ、と言葉を詰まらせたんです。義姉が思うより点数が良かったらしく、以来、まったくお問い合わせなしです(笑)」

娘たちを従姉たちと比べても遜色ない大学に進学させたユキエさんは、まずは安堵した。もちろん、これで引き下がる義姉ではない。

「義姉は進学で引き分けたことがどうにも許せなかったらしく、次は、娘たちの就職先、結婚相手の学歴、経済事情、社会的地位を比べようとしました」

ユキエさんが学んだのは、義姉が何を言ってきても娘たちの情報を伝えないこと。どんなに探りを入れられても、「まあ何とかね」「ぼちぼちやってます」と答え続けた。

それとなく義姉を遠ざけていたユキエさんだったが、介護のため義母と同居したことで、一家の差別意識の根深さを思い知る。

「優しくて穏やかなお義母さんでしたから、義姉とは大違いと思っていたら……」

一緒に住んでみると、「あの家は代々頭が悪い」とか「あの子はブスで可哀そう」とか、学歴や美醜についての批評が会話の端々にでてくる。夫までが「やっぱりあいつは○○大学だからな」と母親に話を合わせる始末。

「やれやれと思いました。これはもうDNA。親の代から続く“格差好き”が子どもたちに凝縮したんだとわかりました」

人の上に立つことや人より頭が良いこと、美しいことが価値観のすべてのような家風は、自分の代で断ち切ろうと覚悟したユキエさん。娘たちには、人と比べるのではなく、自分が望むように生きてほしいと心から願う。

「子どもの生き方って、親の通信簿だと思うんです。子どもに妙な価値観を植え付けないよう気をつけなくちゃと思っています」