日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「『五月躑躅(サツキツツジ)』のツボミが花開く時起こること」です。

花びらが重くなる

 

秋に剪定をすると……

この植物の名前は、旧暦の5月(さつき)に花咲くことにちなんでいます。春を過ぎて花が咲くので、ツボミは春につくられるような印象があります。しかし、スイセン、ヒヤシンス、チューリップなどの春咲きの球根類の場合と同様に、これらの花々のツボミは、前の年の7月から8月ごろに生まれています。その後、夏の暑さ、冬の寒さに耐え、ほぼ1年間、自分たちが花咲く季節をじっと待っているのです。

生き生きと美しく咲いているように感じられる花々は、新しく伸びはじめる芽と競うように木の表面を覆って咲きます。枝の先に、花が咲くからです。ということは、夏に枝の先にツボミがつくられるのです。

「夏に、ツボミが枝の先につくられる」ことがあまり知られていないので、秋に木の形を整えるために、枝の先が刈られることがあります。

ところが、夏に枝の先にツボミがつくられているのですから、そんなことをすると、ツボミが切られることになります。春になって、「家のサツキツツジには、多くの花が咲かないが、なぜか」との悩みが生まれることになります。

剪定(せんてい)をするなら、花の季節が完全に終わる前、「もう少し花を楽しめるだろう」と思うころに、勇気を出してしなければなりません。毎年「つつじ祭り」などが催される場所では、祭りが終わるとすぐに刈り込みが行われます。