「容姿も才能の面でも「凡庸」を自認する私が、役名をもらって舞台に立ち、単独のセリフを言うためにはどうすればいいか」(撮影:本社写真部)
宝塚歌劇団花組で「おじさん」役を演じ続けてきた、稀有な元タカラジェンヌ・天真みちるさん。著書『こう見えて元タカラジェンヌです』には、華やかな世界で、独自のポジションを確立するまでの軌跡が描かれている。彼女がそこに活路を見出した理由は――(構成=山田真理 撮影=本社写真部)

モヒカンの用心棒、角刈りの車引き…

見たくなくても、あなたの瞳にダイビング! 元宝塚歌劇団花組の視線ドロボウ、天真みちるです。「清く、正しく、美しく」をモットーに歌い踊る宝塚で、モヒカンの用心棒、角刈りの車引きなど「情報量の多いおじさん」を演じてまいりました。余興やお茶会で披露してきた「タンバリン芸」でご記憶の方も多いかもしれません。

そんな私が、2018年に宝塚を退団するまでの約15年間をつづったウェブ連載をまとめたのが『こう見えて元タカラジェンヌです』です。在団中に私の書いた原稿を見た編集の方からお話をいただいたとき、トップスターでもない私のような者が宝塚の本を書いていいのか悩みました。

でも「こう見えて〜」というタイトルの一節が浮かんだとき、それなら書けると思ったんです。宝塚の知られていない面を内側から楽しくお伝えする、「誰も傷つかない暴露本」を目指したつもりです。