花札の11月に「ヤナギ」が選ばれた不思議

「花合わせ」という、遊びがあります。これに使う「花かるた(花札)」では、各月に植物が割り当てられています。

1月は松、2月は梅、3月は桜、4月は藤、5月は菖蒲、6月は牡丹、7月は萩、8月は薄、9月は菊、10月は紅葉などです。それぞれの月にふさわしい植物が使われていますが、11月と12月には、想像しがたい植物が選ばれています。

花札。一番手前が11月の札「柳に小野道風」

11月には、ヤナギが選ばれているのです。ヤナギの花は、あまり目立ちませんが、4月から5月に咲きます。だから、11月はヤナギの花の季節ではありません。かといって、11月に、ヤナギの葉っぱが、モミジのように、きれいに紅葉するわけでもありません。

「11月は意外と雨が多いので、ヤナギのイメージに結びつく」という説もありますが、多くの人を説得するほどの力はありません。11月にヤナギが選ばれていることについて、納得のいく理由は知られておらず、謎のままです。

12月には、キリが選ばれています。キリの花は、5月に咲きます。ですから、キリは、12月の植物にはふさわしくありません。だから、11月のヤナギと同じように、「なぜ、キリが12月の植物なのか」という疑問が浮かびます。

しかし、これには、納得のいく答えが用意されています。それは、12月が1年の終わりであることです。はじめから終わりまでを意味する「ピンからキリまで」という言葉があります。このときの「キリ」は最後を指し、1年でいえ

ば、12月になります。だから、「12月は、『キリ』と洒落(しゃれ)ている」といわれます。