日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【スイートピー】松田聖子の名曲がヒットして「赤」が作られた」です。

 

曲がヒットするまで存在しなかった赤い花

この植物は、江戸時代の末に日本に入ってきたといわれています。その後、それなりに身近に栽培されていました。

しかし、この植物が現在のように多くの人々に知られるようになったのは、1982年、松田聖子さんが歌った「赤いスイートピー」という曲がヒットしたことが貢献しています。「心の岸辺に咲いた赤いスイートピー」「線路の脇のつぼみは赤いスイートピー」「心に春が来た日は赤いスイートピー」のように、この花の色は歌われています。

歌のタイトルである「赤いスイートピー」に誘われて、多くの人が「スイートピーの真っ赤な花を見たい」と思いました。ところが、当時、花屋さんに行っても、あざやかな真っ赤な花には出会えませんでした。スイートピーには、白色、桃色、薄紫色などの花はありましたが、あざやかな真っ赤な花を咲かせる「赤いスイートピー」は存在していなかったのです。