日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【紫陽花】花の色が変化する理由」です。
答えは…

 

 

土壌の性質に左右されるため

旧学名はシーボルトが愛した女性の名に由来

この植物は、江戸時代に、長崎のオランダ商館にいたドイツ人の医師シーボルトにより、ヨーロッパに紹介されました。

彼により名づけられた学名は、「ハイドランジア オタクサ」でした。「ハイドランジア」は、「水を入れる器」を意味する語で、現在では、この名前がこの植物の商品名に使われることがあります。「オタクサ」は日本語の「お滝さん」が訛(なま)ったものです。これは、シーボルトが日本に来ていっしょに暮らした「楠本滝(くすもとたき)」の呼び名です。彼は彼女をたいへん愛し、ドイツ語訛りで、「おたくさん」とよんでいたのです。アジサイの現在の学名は、「ハイドランジア マクロフィラ」です。「マクロフィラ」は「大きな葉」を意味し、この植物の特徴を示します。

この植物は、漢字名では、「紫陽花」と書かれます。これは、中国の唐の時代の白居易(はくきょい)という詩人が名づけたものです。白居易は、白楽天(はくらくてん)という名前でよく知られています。彼は、お寺に植えられて紫色の花を咲かせていた植物に、まだ名前がつけられていないことを知り、それに「紫陽花」と名づけた詩を詠みました。その「紫陽花」という漢字名が、日本に伝わってきて、アジサイに当てられています。

しかし、「白楽天が詩に詠んだ紫色の花を咲かせる植物は、アジサイではなかった」といわれます。そのためか、アジサイは、中国では、漢字名で「八仙花」と書かれます。